研究課題/領域番号 |
14570102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
多久和 典子 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (70150290)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | スフィンゴシン-1-リン酸 / G蛋白共役型受容体 / 細胞運動 / 肺転移モデル / 低分子量G蛋白 / PDGF / 血管平滑筋 / Rac / 転移 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 浸潤 |
研究概要 |
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体アイソフォームS1P_1、S1P_2、S1P_3について、各々の生物活性の顕著なアイソフォーム特異性とその分子基盤を明らかにして来た。特に、S1P_1、S1P_3は低分子量G蛋白Racの活性化を介し、S1Pに対する化学遊走受容体として機能するのに対し、S1P_2はこれらとは対照的に、Rho活性化を介してRacを抑制し、細胞遊走を抑制する最初のG蛋白共役型受容体であることを世界に先駆けて明らかにした。S1P_2のみを選択的に発現しているB16マウスメラノーマ細胞において、S1Pは内因性に発現するS1P_2を介して細胞運動・浸潤をin vitroで抑制し、in vivoにおいてマウス尾静脈注入モデルを用いた肺転移を濃度依存性に抑制した。S1P抑制効果はS1P_2を強発現させたB16細胞では増強すること、一方逆に、S1P_1、S1P_3強発現B16細胞では減弱し、さらに後者では低濃度のS1Pはむしろ細胞運動・浸潤・肺転移のいずれをも促進することを見い出した。これはG蛋白共役型受容体がin vivoにおいてアイソフォーム特異的、リガンド依存性に腫瘍の転移を正・負両方向に制御しうることを意味し、悪性腫瘍に対する新たな治療方法の開発の可能性を示唆する。一方、血管壁リモデリングにおいて活性化血小板が重要な役割を果たしていることは以前から示唆されており、我々も血小板由来成長因子(PDGF)に着目し、血管内膜除去後引き起こされる内膜肥厚においてPDGF受容体活性化を見出し、また、PDGF受容体細胞外ドメインの遺伝子治療により内膜肥厚を抑制しうることを示して来た。本研究ではさらに、培養ラット大動脈平滑筋細胞を用い、S1PがS1P_1-Gi情報伝達経路とその下流において転写因子KLF5を介する機構により、平滑筋細胞においてPDGF発現を誘導することを初めて明らかにした。
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