研究課題/領域番号 |
14570155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
覚道 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00112037)
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研究分担者 |
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60264876)
中村 靖司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60275352)
中村 美砂 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (70285386)
森 一郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (10157852)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 乳癌 / レチノイン酸受容体β2 / 点突然変異 / ヘテロ接合体消失(LOH) / 染色体 |
研究概要 |
レチノイン酸による癌治療の効果はレチノイン酸受容体(RAR β2)の発現と強い関連があることが報告されている。癌抑制遺伝子の一つであるRAR β2遺伝子は染色体3p24に位置し、乳癌においてはLOHが高頻度に見られることが知られている。しかしながら、対立遺伝子についての不活化機構を検証した報告はない。本研究では乳癌におけるRAR β2遺伝子の不活化機構を明らかにすることを目的に、乳癌培養細胞株と外科的に切除された乳癌腫瘍組織を用い、RAR β2遺伝子の遺伝子変異、LOH、メチル化について解析した。その結果、1.45例の乳癌腫瘍と乳癌細胞株2株を用いて直接塩基配列を決定した結果,RAR β2遺伝子の点突然変異は全てにおいて認められなかった。2.三つのマイクロサテライトマーカーを用いて、3p24領域についてLOHを調べた結果、45例のうち11例(24%)にLOHが認められた。乳癌細胞株2株にはLOHを認めなかった。3.RT-PCR法およびwestern blotting法によりRAR β2の発現について調べた結果、T47D細胞株とLOHのあった腫瘍7例に発現が認められた。4.Methylation-specific PCRと制限酵素を用いRAR β2遺伝子のメチル化を検索した結果、RAR β2陽性の乳癌培養細胞株T47Dではメチル化と非メチル化のアレルを保持し、RAR β2陰性の乳癌培養細胞株MRK-nu-1細胞株ではRAR β2遺伝子のプロモーター領域で両対立遺伝子のメチル化が見られた。LOHを保有している腫瘍の11例中、RAR β2陰性の4例では全例にメチル化を認めた。RAR β2陽性の7例については全例メチル化を認めなかった。5.5-aza-2'-deoxycytidineにより脱メチル化を行うと、RAR β2の発現が低下していたT47D細胞ではRAR β2発現は強陽性となり、陰性のMRK-nu-1細胞ではRAR β2発現は陽性となった。以上の結果より、乳癌におけるRAR β2遺伝子の不活化にメチル化が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらにRAR β2遺伝子の脱メチル化による分子標的治療法が有用な癌予防と治療になる可能性があることが推測された。
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