研究課題/領域番号 |
14570187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水野 信哉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10219644)
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研究分担者 |
中村 敏一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00049397)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 慢性腎不全 / HGF / 線維化 / TGF-β / メサンギウム細胞 / 糸球体硬化症 / 筋線維芽細胞 / 糖尿病性腎症 / 慢性腎疾患 / 細胞外マトリックス / 再生医学 |
研究概要 |
私たちはこれまでHGFがネフロン実質細胞に作用して慢性腎不全の病態を改善する機能を有することを明らかにしてきた。一方、慢性腎不全の進展に伴う腎間質の線維化に対するHGFの作用機構は不明であった。そこで今回、代表的な腎間質細胞であるメサンギウム細胞由来の筋線維芽細胞に対するHGFの作用機構を解析した。 1)糖尿病性腎症のモデルマウスを解析したところ、メサンギウム領域におけるHGFの枯渇に伴って糸球体硬化症が急速に憎悪した。このマウスにリコンビナントHGFを投与したところ、線維化因子の一つであるTGF-β1の発現が阻害されるとともに糸球体硬化性病変は改善された。糖尿病性腎症での腎不全に対してもHGF補充療法が有効であることが判明した。 2)メサンギウム増殖性腎炎モデルラットにおいて、メサンギウム細胞は筋線維芽細胞へと形質転換するとともに過剰な増殖を示し、HGF受容体(c-Met)を高頻度に発現していた。一方、培養メサンギウム細胞を用いたin vitro解析によって、PDGFによって誘導されるERKのリン酸化をHGFが抑制することを見出した。in vivo解析のため、メサンギウム増殖性腎炎モデルラットにリコンビナントHGFを投与したところ、糸球体におけるERKリン酸化が抑制されるとともに筋線維芽細胞の増殖が抑制され、糸球体硬化症の進展が阻止された。 3)線維化に陥った腎間質を占拠する筋線維芽細胞の生存/細胞死に対するHGFの機能を解析した。腎尿細管間質線維症モデルマウスにリコンビナントHGFを投与したところ、筋線維芽細胞のアポトーシスが約2倍に増加し、筋線維芽細胞の占有面積が減少した。一方、腎尿細管上皮細胞の増殖(再生)はHGF投与で著しく高まっていた。腎硬化症の進展はHGF補充療法によってリバースできることが明らかとなった。 以上の結果は、慢性腎不全/腎硬化症に対するHGF補充療法が、間質線維化解除ならびに実質ネフロン再生を同時に実現する、理想的な治療戦略であることを強く示唆している。
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