研究概要 |
我々は本研究で、以下のことを明らかにした。 1)ARPP遺伝子を単離し、その構造を明らかにした(BBRC,285,715-23,2001)。 2)CARP蛋白質が心臓特異的に発現するのに対して、ARPPは心筋と骨格筋に発現し、特にtype1筋線維に特異的に発現することを見出した(Am J Pathol,160,1767-78,2002)。 3)マウスARPP遺伝子を単離してその蛋白質を同定して発現を詳しく解析し、ARPPはサルコメアの1帯に局在することを見出した(Lab Invest,82,645-55,2002)。 4)CARPならびにARPPはマウス坐骨神経切断後の萎縮骨格筋で発現誘導されることを見出した(Lab Invest,82,645-55,2002)。 5)CARPは筋ジストロフィーの再生筋線維で発現亢進し、ARPPは発現低下すること(Lab Invest,83:711-9,2003; Pathobiology,71:43-51,2003)を見出し報告した。 6)CARPならびにARPPは先天性ミオパチー、ネマリンミオパチー、ミオチュブラーミオパチー症例の萎縮骨格筋線維でしばしば発現亢進すること、あるいは両蛋白質陽性筋線維の分布異常がみられることを報告した(Lab Invest,83:711-9,2003; Pathol Int,53:653-8,2003; Pathobiology,71:43-51,2003)。 7)ARPP遣伝子ノックアウトマウスを作製してARPPの生理機能を解析した。われわれはARPP遺伝子のexon2から8までを欠失させたtargeting vectorを作成して、型どおりの方法でノックアウトマウスを作製した。ごく最近、ホモノックアウトマウス(ARPP-/-マウス)の作製に成功した。これまでのpreliminaryな形態的観察ではARPP-/-マウスに大きな異常は見られていない。
|