研究課題/領域番号 |
14570201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 講師 (70216878)
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研究分担者 |
長村 義之 東海大学, 医学部, 教授 (10100992)
滝澤 俊也 (瀧澤 俊也) 東海大学, 医学部, 助教授 (70197234)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | diacylglycerol / protein kinase C / lipid peroxidation / signal transduction / oxidative stress / MAP kinase / BIAcore / glutathione peroxidase / signal tansduction / neuron / brain |
研究概要 |
プロテインキナーゼC(PKC)は、イノシトール燐脂質情報伝達系のkey enzymeであり、種々のlipid mediatorの中でもジアシルグリセロール(DAG)によって活性化されることにより様々な細胞応答に重要な役割を果たしている。我々はDAGが過酸化されることによりnative DAGの約3倍のPKC活性化作用を持つ強力な活性化物質に変質することを証明し、機能性脂質(DAG)の過酸化によるPKC過剰活性化と蛋白リン酸化反応の異常亢進による病変発生の可能性を示した。また、過酸化DAGがPKCδおよびα分子種を特異的に強く活性化することを明らかにし、更にPKCδおよびα分子種を過剰発現させた初代培養神経細胞に過酸化DAGを作用させた結果、δ分子種を高発現する細胞でのみ過酸化DAGによる神経細胞傷害が認められ、過酸化DAGによる傷害機構においてPKCδ分子種が特に重要であることが推測された。本研究は、過酸化DAGが特定のアイソザイム(δ)の活性化を介して病変を引き起こすことを、in vitro無細胞系、神経培養細胞系および実際の脳組織、細胞内において厳密に検証し、また、その分子機構を精査することを目的とした。2002年度は、過酸化DAG投与モデル作成のための基礎的な実験を行った。ウイスター系雄ラットを用い大脳・線状体領域に一定量の薬剤を投与するモデル系を完成させた。また、過酸化DAGの分子種特異的活性化機構を、Biacore(生体分子間相互作用を計測する装置)を用い検討を行った。その結果、過酸化DAGはnative DAGに比較してPKC分子との結合速度が速く、解離速度が低いことが明らかとなった。2003年度には、実際の脳組織に過酸化DAGを投与したモデル動物の解析を行った結果、顕著な神経細胞傷害が認められた。また、グルタチオンペルオキシダーゼ活性を有する薬剤であるebselenは過酸化DAGによる傷害作用を有意に抑制した。更にセレン添加および欠乏条件下で過酸化DAGの作用を検討したところ、セレン欠乏条件下でのみ神経細胞傷害が誘導された。以上の実験結果から、酸化ストレスにより発生することが予想される過酸化DAGが、脳組織神経細胞の傷害・細胞死において重要な役割を果たしていることが強く示唆された。更にその防御因子としてのグルタチオンペルオキシダーゼおよびebselenが有効であることが判明した。
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