研究概要 |
1)成熟期マウスのエストロゲン刺激中止後の子宮上皮細胞のアポトーシスでは,ミトコンドリアを介するアポトーシスの経路が作動しており,Bc1-2 family蛋白がそれを制御している事,更にミトコンドリアからのチトクロームCの放出経路であるvoltage dependent anion channel(VDAC)が増加し,アポトーシスの感受性を増加させている事を示した。 2)マウス男性ホルモン依存性癌であるシオノギ癌115細胞を用いて,in vitroで男性ホルモン除去後でのアポトーシスの機構を検討し,in vitroでもシオノギ癌細胞の細胞死では,ミトコンドリアを介するアポトーシスの経路が作動している事を示した。 3)c-fos欠損マウスを用いて,c-fosの子宮,前立腺,精嚢,凝固腺,副睾丸でのアポトーシスにおける役割を検討し,c-fosは,これらの臓器での性ステロイドホルモン刺激中止後のアポトーシスでは,重要な役割を果たしていない事を明らかにした。 4)出生直後から成熟期迄の間でのマウス精嚢,副睾丸上皮細胞のアポトーシスに及ぼす去勢の影響を検討し,精嚢発育の緩やかな生後20日迄のアポトーシスの程度は,発育速度の早いそれ以降の時期のアポトーシスの程度と較べて有意に低い事を示した。 5)エストロゲン除去後のラット子宮上皮細胞のアポトーシスの機構として,間質の萎縮による上皮支持面積の減少が上皮のアポトーシスに重要な役割を果たすとの仮説を提唱し,この仮説を検証するために,底がシリコン膜でできた細胞培養面積を変化させることのできる培養器具を作成し,実験系を確立した。
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