研究課題/領域番号 |
14570255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 関東学院大学 (2004) (社)北里研究所 (2002-2003) |
研究代表者 |
川原 一芳 関東学院大学, 工学部, 教授 (20195126)
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研究分担者 |
松浦 基博 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20150089)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ペスト菌 / エンドトキシン / リピドA / 化学構造 / 生育温度 / 病原性 / 脂肪酸転移酵素 / クローニング / 培養温度 / 発現調節 / コア糖鎖 / マクロファージ活性化 |
研究概要 |
ヒトに極めて強い病原性を示すペスト菌(Yersinia pestis)の病原性発現機構を菌のエンドトキシン(LPS)の構造の特殊性から研究した。Y.pestis Yreka株を生育至適温度の27℃と、感染時の温度である37℃で培養し、LPSの構造を質量分析などにより比較した。その結果、リピドA中の脂肪酸が、リピドA-27℃では3-OH-C_<14:0>に加えてC_<12:0>やC_<16:1>が多く、1分子中脂肪酸が3分子から6分子結合していた。これに対してリピドA-37℃ではC_<12:0>が少なくC_<16:1>は検出されなかった。また1分子中脂肪酸は3分子ないし4分子であった。糖鎖に関してもLPS-37℃では、より単純な糖鎖構造になることが明らかになった。次にこれらのLPSの、ヒトおよびマウス由来マクロファージ系細胞に対する活性化能をTNF産生活性を指標にして調べた。その結果、LPS-37℃はLPS-27℃に比べてマクロファージ活性化能が低いことがわかり、その差はヒトの細胞でより顕著に見られた。これらの結果から、37℃においてはLPSが単純な構造に変化し、免疫活性化能が低下することで、ペスト菌の体内での増殖を容易にすると推定された。さらに、リピドAにおけるC_<12:0>とC_<16:1>の増減を遺伝子レベルで解明するため、これらの脂肪酸を転移する酵素遺伝子のクローニングを行った。大腸菌の遺伝子と相同性をもつ領域をY.pestisおよび近縁のY.pesudotuberculosisの公開されているゲノムデータから検索した結果、相同性の高い2カ所の領域が見いだされた。そこでY.pesudotuberculosisの遺伝子をPCRで増幅し、クローニングした。ゲノムデータによると2菌種の相応する遺伝子産物のアミノ酸配列は完全に一致するが、リピドA中の脂肪酸の種類と温度変化のパターンは異なっていた。従って、温度に伴うリピドAの変化は脂肪酸転移酵素の発現量と活性によるのではなく、基質となる脂肪酸の生合成系からの供給量の変化に依存するのではないかと推定された。
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