研究概要 |
14年度の研究実施計画2)HIV-1 Env/Gagの直接的相互作用を感染細胞レベルで検出する生化学的実験系に関連して,HIV-1 Env/Gagの直接的相互作用とウイルスの吸着・侵入過程との関連について検討した。すなわち,標的細胞への吸着・侵入段階におけるHIV-1Gag蛋白のプロセッシング,Env蛋白gp41細胞質内ドメイン(gp41CT)の役割の解明のため,HIV-1プロテアーゼ欠損変異株,gp41CT変異株を用いて標的細胞との融合過程への影響を検討した。14年度は,1)HIV-1と標的細胞との融合過程にGag蛋白のプロセッシングが必要なこと,2)Gag蛋白前駆体との相互作用ができなくなったgp41CT変異株では,Gag蛋白のプロセッシングなしでもウイルスと細胞との膜融合が起こることを明らかにした。以上の結果は,1)gp41CTとGag蛋白前駆体との相互作用がEnv蛋白の高次構造を膜融合不活性にし,2)その抑制がGag蛋白のプロセッシングまたはgp41CT変異株で解除されることを示唆している。今年度は,Gag蛋白のプロセッシングによって制御されている過程を検討し,少なくともウイルスと標的細胞との結合や,レセプターの結合によって活性化され形成される膜融合中間体である6-ヘリツクスバンドルの形成はGag蛋白のプロセッシングによって影響を受けないことを明らかにした。以上の成果をJ.Virol.(78,1026-1031,2004)に発表した。
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