研究課題/領域番号 |
14570269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10325863)
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研究分担者 |
藤井 暢弘 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90133719)
横沢 紀子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50167722)
岡林 環樹 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10359995)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / インターフェロン / 細胞内情報伝達系 / ウイルス増殖 / SOCS3 / プロテインキナーゼ阻害剤 / Jak3阻害剤 / 生体防御 / ウイルス感染 / ヘルペスウイルス / 細胞内情報伝達 / JAK / STAT経路 / negative regulation / SCOS-3 / IRF / virion host shutoff / 蛋白質リン酸化 |
研究概要 |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染によって宿主細胞のインターフェロン(IFN)に対する反応性が抑制される機構とその意義について解析を行った。HSV-1感染のごく初期(1時間以降)に宿主細胞内のJAK/STAT情報伝達系の負の調節因子のひとつであるsuppressor of cytokine signaling 3(SOCS3)の発現誘導が起こり、それがHSV-1感染初期のIFN情報伝達系抑制を担っていることを示した。結果として、IFN誘導性の抗ウイルス状態が解除される[Yokota et al.(2004)J.Virol.78,6282-6286]。 SOCS3の発現誘導は細胞株によって異なり、誘導能の高い細胞(羊膜細胞FL、T細胞株CCRF-CEM)ではウイルスの著しい増殖が起こりlytic infectionとなるが、発現誘導がほとんど起こらない細胞(単球系細胞株U937,THP-1、B細胞株AKATA)では低い力価のウイルスを産生し続けるprolonged infectionの状態になることを見出した。 FL細胞の系でSOCS3の発現をアンチセンスオリゴヌクレオチドで抑制させると感染後のウイルスの増殖が著しく抑制された。SOCS3の発現誘導はSTAT3によって制御されていることから、その上流のjanus kinase(JAK)の阻害剤の効果をみたところ、Jak3阻害剤がHSV-1によるSOCS3の発現誘導を抑制することを見出した。Jak3阻害剤WHI-P131は、FL細胞でのHSV-1の増殖を著明に抑制した。また、WHI-P131によるHSV-1増殖抑制はIFN-αおよびβの中和抗体添加により有意に解除された。 本研究では、HSV-1感染によるSOCS3の誘導が、HSV-1の宿主細胞内での増殖に必要なひとつの要素であり、その役割はIFNによる抗ウイルス活性成立の抑制であることが示された。また、SOCS3発現誘導をコントロールすることによるHSV-1の増殖抑制は、ウイルス感染治療の新規ターゲットとして期待される。
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