研究概要 |
本研究は、生体の酸化ストレス防御と、活性酸素によるシグナル伝達に重要な役割を示す細胞外型スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)の様々な役割を明らかにすることを目的としておこなわれた。 生体のストレス応答におけるEC-SODの役割として、脳虚血に対する耐性とEC-SDDの分布、発現パターンに相関があることを、マウス虚血モデルを用いた実験で明らかにした。(Free Radic.Biol.Med.,32,289-298,2002)。一方、運動トレーニングに伴うEC-SOD発現と酸化ストレスについて、human studyを行い、有酸素的トレーニングによって最大酸素摂取量の向上に伴い、血中EC-SOD濃度の有意な低下を認め、激しい運動が血液中EC-SOD濃度の急激な上昇をもたらすことを示した。(Free Radic.Res.,37,713-719,2002) また、このとき、生検により採取した骨格筋でストレス応答遺伝子の発現について検討し、HSP70などに発現増加を認めた。(Res.Commun.Mol.Pathol.Pharmacol.,111,41-54,2002) EC-SODの細胞核内移行を初めて見出し、酸化ストレスに伴うゲノムに対する障害防御にEC-SODの関与を示唆した。(Biochem.Biophys.Res.Commun.,296,54-61,2002),加えて、EC-SODの細胞核内移行が強い酸化ストレスにより促進されることをin vitroの実験で明らかにした。(Biochem.Biophys.Res.Commun.,303,914-919,2003)更に、EC-SODの組織分布にC末端近傍のシステイン残基が形成する分子内結合によるヘパリン親和性の変化が寄与している可能性を示した。(Free Radic.Res.,37,823-827,2003)
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