研究概要 |
1.Heme oxigenase-1(HO-1)の検討:Heat shock protein familyの一種であるHO-1の頭部外傷に基づく発現を明らかにするため,頭部外傷例,対照例の大脳皮質を免疫染色して検討したところ,頭部外傷例の神経細胞並びにアストロサイト(AC)にHO-1の発現を認め,頭部外傷のマーカーとして有用である可能性が示唆された。 2.Angiotensin converting enzyme (ACE)の基礎的検討:ACEを脳血管変化の検索に応用するための基礎的検討として,虚血性心疾患例の冠状動脈における染色性について検討したところ,急性心筋梗塞例の全例において陽性像を示し,脳動脈硬化の不安定性プラークの検索にも有用である可能性が示唆された。 3.脳内血腫における外傷性・内因性の鑑別診断:外傷性5例,内因性5例,不明1例の脳内血腫例について,各染色を施した標本を検討した。(1)ビクトリア青染色による血管変化の検討:陳旧小出血を外傷性2例,内因性2例,不明1例に認めた一方,血管壊死の所見は内因性2例のみに認められ,血管壊死の検討が両者の鑑別に有用であることが示唆された。(2)Amyloid precursor蛋白(APP),neuron-sepcific enalose (HSE)免疫染色の検討:外傷性軸索損傷の検出に有用とされ外傷性3例に陽性像が観察されたが,内因性1例の脳ヘルニア近傍にも同様の像が観察された。(3)Angiotensin converting enzyme (ACE)免疫染色の検討:血管変性の検出に有用という報告があり,内因性2例に陽性像を認めたが,高齢者外傷例1例も陽性を示した。(4)Excitatory amino acid transporter 2 (EAAT2), glial fibrillary acidic蛋白(GFAP)免疫染色の検討:EAAT2は受傷後数時間〜1日生存例でAC強陽性像を認めたものの,外傷性・内因性の間に差を認めず,同様にGFAPもACの経時的形態変化は認めたものの,外傷性・内因性の間に差を認めなかった。
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