研究概要 |
我々は,局所のTH1,TH2のバランスの決定に重要な因子IL-12の制御がマクロファージの細胞内の還元型グルタチオン/酸化型グルタチオンの比率(GSH/GSSG比)によりコントロールされており、しかもTH1サイトカインIFN-γがGSH/GSSGを上昇させ、TH2サイトカインIL-4がGSH/GSSGを低下させるpositive feedback機構の存在を明らかとしてきた。今回、なぜマクロファージの細胞内GSH/GSSG比率の違いにより、LPS惹起IL-12産生の制御を行うことができるのか?そのメカニズムを明らかにしようとした。本研究により、マクロファージからのLPS惹起IL-12産生はP38MAP kinaseによりpositiveに制御されていること。また、JNKによりnegativeに制御されているという新しい経路を発見した。さらに、細胞内グルタチオンレドックスを還元状態にするとP38MAP kinase活性が亢進し、逆にJNKが抑制され、IL-12産生を相乗的に高めるという新知見を得たのでJ ImmunolおよびJ.Leuko.Biol(文献1,4)に発表した。さらに、自然免疫系のTLR-4については、IL-4が単球上のTLR-4の発現を抑制し、IL-2がその発現を増加させることをImmunol Let(文献3)に報告し、以前の研究成果とあわせ、TH2サイトカインが単球上のTLR-4の発現を抑制し、TH1サイトカインがその発現を増加させること示し、自然免疫系と獲得免疫系のクロストークを明らかとした。また、線維芽細胞からのTGF-β惹起CTGF産生がMAPキナーゼのJNKにより制御されているという新知見も得たのでAm J Respir Cell Mol Biol(文献2)に報告した。
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