研究概要 |
生検後2年以内に手術が必要になる潰瘍性大腸炎患者(UC-S)と薬物治療のみで経過する患者(UC-M)を生検で鑑別する本診断基準は,同時に進めてきたretrospective studyによって単純化され,暗算でも使用できる診断基準となっている(Scand J Gastroenterol 2003 ; 38 : 594-8)。今回のprospective studyの目的は,この単純化診断基準の感度・特異度を正確に算出して,臨床応用できる「潰瘍性大腸炎の治療指針案」を作成することである。 研究計画の前半部分に当たる初年度(平成14年度)と本年度(平成15年度)では,潰瘍性大腸炎症例の収集と診断基準を用いたカテゴリー診断を行った。本学を含めて研究参加を承諾している施設から送付された生検標本は約400例である。すでに切除標本の病理組織診断からUC-Sであることが確認された症例も多数あるが,その他の症例では今後の2年間で,潰瘍性大腸炎であるか否かの確認と,潰瘍性大腸炎であれば更にUC-SであるかUC-Mであるかを明らかにすることが必須の作業となる。そのためには,症例ごとの臨床経過・内視鏡所見・病理組織学的所見などについての詳細な検討が必要となる。なお,申請時の研究計画には平成16年度以降の症例収集について言及しなかったが,より多くのデータに基づいて正確な診断精度を算出するための症例収集と病理診断は継続していく予定である。
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