配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
これまでに、消化器癌細胞株の遺伝子発現情報と抗癌剤感受性とを統計学的に解析し、抗癌剤感受性と相関する遺伝子群の抽出、及び遺伝子-抗癌剤間の相関ネットワークの構築を、主に肝癌細胞株を用いて行ってきた。この手法を膵癌に応用し、膵癌治療の個別化、最適化を図ることを目的として、膵癌細胞株の、臨床で膵癌に対して使用されている抗癌剤(Gemcitabine,5-FU,Cisplatin等)に対する感受性を検討した。その結果、膵癌は他の消化器癌細胞株に比べ、抗癌剤感受性が低いことが判明した。 そこで、近年臨床の場において膵癌に対して最も使用されているGemcitabineに注目し、これを用いた膵癌化学療法の個別化・最適化のために、膵癌細胞株6種(Panc1,MIA-PaCa2,AsPC1,BxPC3,KPIN, Su86.86)を使用し、Gemcitabineに対する感受性をMTTアッセイで数値化した。また、1万個の遺伝子が収載されたcDNAマイクロアレイを用いて6種の細胞株の遺伝子発現情報を解析し、Gemcitabineに対する感受性と発現量が相関している遺伝子群を統計学的に抽出した。抽出されたGemcitabine感受性規定遺伝子群は、感受性と正の相関を示すものが15遺伝子、感受性と負の相関を示すものが15遺伝子、計30遺伝子であった。 さらに、MIA-PaCa2細胞株に対してGemcitabineの1年間にわたる長期曝露をおこない、残存してきたクローンをGemcitabine耐性株として樹立した。樹立した耐性クローンは、元株と比較して約100倍のGemcitabine耐性能を獲得していた。この耐性株と元株の遺伝子発現情報の比較により、当初おこなった6種の膵癌細胞株を用いた系とは独立にGemcitabine感受性規定遺伝子群を抽出した。 6種の細胞株を用いた系から抽出したGemcitabine感受性遺伝子群と、耐性株と元株の比較から抽出したGemcitabine感受性遺伝子群で、重複して抽出された遺伝子は6遺伝子であった。感受性と正の相関を示すものが2遺伝子(GPR3,CRYAB)、感受性と負の相関を示すものが4遺伝子(RPS13,TNFSF6,PELO,STXBP3)であった。これら6遺伝子を、Gemcitabine感受性に最も関与している遺伝子群として同定した。 今後は生検で得られた検体で上記の6遺伝子について調べ、実際の治療効果との関連を検討する。
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