研究課題
基盤研究(C)
肝硬変に伴う、食道・胃静脈瘤発生機序について、血管拡張物質の代表であり、肝硬変におけるhyperdynamic circulationに重要な役割をはたしているnitric oxide (NO)と、NOに影響を受ける血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現に着目し、その重要性を検討してきた。食道・胃静脈瘤とNOとの関係NO合成酵素であるeNOSのgenomic polymorphism (E298D)において、静脈瘤をともなう肝硬変患者では、遺伝子型Glu/Gluが81%、Glu/Aspが19%であり、正常者のallele frequencyと変化はなかった。しかし、カテーテル検査の結果、Glu/Asp症例では奇静脈と肝静脈いずれのNO濃度もGlu/Glu症例に比較して低い傾向にあった。食道・胃静脈瘤とVEGFとの関係さらにVEGF遺伝子のpolymorphism (3'-UTR936C/T)において、食道・胃静脈瘤を伴う肝硬変患者は、それらを伴わない肝硬変に比べ、VEGF遺伝子のmutationが少ない傾向があった。そしてeNOS、VEGFのどちらかに遺伝子変異を認める群は食道・胃静脈瘤が有意に少ないことがわかった。また、食道静脈瘤結紮術(EVL)後の血中VEGFは上昇したが、VEGF遺伝子のmutant患者では軽度であった。VEGFをターゲットにした食道・胃静脈瘤治療の可能性EVL後には門脈圧が上昇することから、腹水貯留や静脈瘤再発を起こすが、その原因としてVEGFが関与し、mutant患者ではそのリスクが少ない可能性が示唆された。実際に、腹水をともなう肝硬変患者ではVEGFのmutantは有意に少なかった。これらのことは、VEGFの誘導を起こしやすいC/Cの患者では、静脈瘤の治療として、抗VEGF療法が有効である可能性を示唆している。
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