研究概要 |
本研究において,EGFRチロシンキナーゼ・インヒビターの非小細胞肺癌における抗腫瘍効果とその作用機序およびFDG-PETスキャンを用いたゲフィチニブの治療効果判定について以下の成果を得た. 1)ヒト肺癌細胞株6株において,ERαおよびβの蛋白発現の測定とゲフィチニブの抗腫瘍効果の検討を行った.全6株で種々の程度でERβの発現が認められたが,ゲフィチニブの抗腫瘍効果と蛋白発現強度に相関は認められなかった.また各細胞株を種々の濃度のゲフィチニブで刺激したが,容量依存的にも時間依存的にもERβの発現の変化は認められなかった. 2)前年度の研究から引き続き,肺癌細胞株における,ゲフィチニブ単剤,タモキシフェン単剤,ゲフィチニブとタモキシフェンの同時併用での抗腫瘍効果の検討を行った.タモキシフェン単剤ではいずれの細胞株においても抗腫瘍効果は認められず,ゲフィチニブ+タモキシフェンでも抗腫瘍効果の相加作用は認められなかった.しかし培地中のestradiol濃度を増加させることにより,感受性株(PC-9)では変化が認められなかったが,低感受性株(A549)ではゲフィチニブの抗腫瘍効果の増加傾向が認められた. 3)FDG-PETスキャンを用いてゲフィチニブの治療効果判定を行い,その有用性について検討した.対象となった12例中3例(25%)において,CTではSDであったがPETスキャンではPRと判定された.CT, PETスキャンともにPRと判定された症例においても,PETスキャン上の効果発現がより早期に認められる傾向があった.以上より,FDG-PETスキャンを用いたゲフィチニブの効果判定は,従来の画像診断法に比べてより精確な評価が可能であった.
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