研究課題/領域番号 |
14570576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
若林 孝一 弘前大学, 医学部, 教授 (50240768)
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研究分担者 |
森 文秋 弘前大学, 医学部, 助教授 (60200383)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学部, 助手 (90232602)
冨山 誠彦 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (40311542)
丹治 邦和 弘前大学, 医学部, 助手 (10271800)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | αシヌクレイン / βシヌクレイン / パーキンソン病 / レビー小体 / 多系統萎縮症 / シヌクレイノパチー / ユビキチン様蛋白 / NEDD8 / ユビキチン / シンフィリン |
研究概要 |
平成14年度はαシヌクレイノパチー脳におけるαシヌクレインの細胞内蓄積機構、特にグリア細胞に焦点を当て、免疫組織化学的、電顕的検討を行なった。対象として、パーキンソン病(PD)6例、Lewy小体型痴呆(DLB)7例、多系統萎縮症(MSA)7例、正常対照5例の剖検脳組織を用いた。PDでは6例中4例、DLBでは7例中5例、MSAでは7例中3例で、小脳皮質分子層にリング状のαシヌクレイン陽性封入体が認められた。それらは、グリア細胞のマーカーであるGFAPと共存したことから、Bergmannグリアの中に形成されたと考えられた。これらの封入体は電顕的に、中心部では高電子密度の顆粒状物質が集合し、周辺部ではgranulo-filamentous structureから成っていた。対照例にはこれらの異常構造物は全く認められなかった。以上から、αシヌクレイノパチーではBergmannグリアにもαシヌクレインの異常線維性凝集が起ることが明らかにされた。 平成15年度はαシヌクレインの相同蛋白であるβシヌクレインの機能を明らかにする目的から、αおよびβシヌクレインに対する特異抗体を用いMSA5例の免疫組織化学的検討を行なった。その結果、αシヌクレイン陽性神経細胞内封入体は橋核および下オリーブ核には高頻度に認められたが、小脳プルキンエ細胞には全く認められなかった。一方、βシヌクレインはプルキンエ細胞の胞体に蓄積していたが、橋核および下オリーブ核の神経細胞体にはごくわずかにしか認められなかった。さらに、小脳顆粒細胞、篭細胞、外星細胞の細胞体にβシヌクレインの免疫原性が認められた。つまり、βシヌクレインを蓄積する神経細胞にはαシヌクレインの凝集体が生じにくいと考えられた。 平成16年度はαシヌクレイノパチーにおける封入体形成とユビキチン様蛋白(NEDD8)の関連について病理組織学的解析を行った。PDならびにDLBでは皮質型および脳幹型レビー小体のほとんどがNEDD8陽性を呈した。一方、MSAではグリア封入体の96%がNEDD8陽性であったのに対し、神経細胞内封入体では40-50%が陽性を示すのみであった。NEDD8の免疫原性は種々のタウオパチー(アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症)、運動ニューロン病、ポリグルタミン病に出現する封入体にも認められたが、それらの陽性率はレビー小体のそれに比べ概ね低かった。これらの結果から、NEDD8はユビキチン-プロテアゾーム系を介し、種々のユビキチン化封入体の形成に関与していることが明らかにされた。
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