研究概要 |
脳のニューロン活動のヒトでのin vivo解析の手段として、近年開発されたPET, SPECT, fMRIによる機能的脳画像は非常に有用であり、運動系、体性感覚系、認知、言語、その他の大脳機能の解析に用いられている。我々は、高次大脳機能と自律神経との関連について、3-D SSP法を用いた排尿賦活大脳機能画像を撮像し、検討した。 排尿障害を有する疾患群は、多系統萎縮症(Shy-Drager症候群)患者とする。これらの患者に対して、排尿症状の詳細な問診と、尿流動態検査(膀胱内圧測定・外尿道括約筋筋電図同時記録)を行う。排尿賦活大脳機能画像は、SPECT(single photon emission computed tomography)を用いて行う。患者の排尿直前、および排尿中に、局所脳血流tracerである99mTc-ECD静注を行い、その5分後からSPECTを撮像する。 対照群は、疾患群の患者の配偶者にvolunteer協力を依頼する。排尿賦活大脳機能画像を同時に測定異常する。両群共に、検査の目的を説明し、尿流動態検査、99mTc-ECDが人体に悪影響を及ぼすことがないこと、検査にいったん同意した後もいつでも撤回でき、そのことで不利益を受けることがないことを説明し、文書で承諾を得てから行う。 検討の結果、多系統萎縮症群では、安静時の局所脳血流の対照群との差異はみられなかったが、蓄尿期、排出期に、小脳虫部の血流がむしろ減少することが統計処理により明らかとなった。結果を学会・英文雑誌で発表した(Sakakibara, R., Uchida, Y., Uchiyama, T., Yoshiyama, M., Yamanishi, T., Hattori, T.(2004) Reduced cerebellar vermis activation in response to micturition in multiple system atrophy;99mTc-labeled ECD SPECT study. Eur.J.Neurol.11:705-708)。
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