研究概要 |
研究代表者は、わが国で開発された抗てんかん薬zonisamide(ZNS)が著明な抗パーキンソン作用を示すことを発見し(Neurosci Res.20001:41:397:399)、本研究費により、その臨床効果の確認と作用機序の解明を進めた。臨床効果については我々が中心になって施行した二重盲検試験以外に全国の神経内科専門医を対象にZNSの抗パーキンソン作用を期待しての使用実態調査を行い、著効例16.2%,やや改善を含めた改善例61.2%と高い効果を示すことを確認した。作用機序については、ZNSが1)dopamine(DA)mRNA合成亢進を介してDA合成を亢進させる。2)DA代謝の主な酵素であるMAO(monoamine oxydase)Bの中等度の阻害作用をもつ(IC_<50>:28μM)。3)DAtransporter(DAT),DA受容体(D1-D5)に対する親和性はない。4)DA以外で抗パーキンソン病約の作用点として想定されている、グルタミン酸受容体(NMDA, AMPA, kinate),セロトニン受容体(5HT1-7),アデノシン受容体(A1, A2A, A2B),に対して明らかな親和性を認めない、ことを明らかにした。さらに、5)特異的に黒質ドパミン細胞のburst firingを増加させるT-type Ca channel阻害剤のNiC12(100μM)及びこれとリンクするSK channelの阻害剤であるapamin(300nM)がZNSと同様の時間経過でTHmRNAを増加させることを見出し、ZNSがT-type Ca channelを介してDA合成亢進作用を示している可能性を示した。
|