研究概要 |
傍腫瘍性神経症候群を特異的かつ早期に正確な診断を可能にする目的で,関連抗原のcDNAから抗体認識部位に対応する部分をプラスミドベクターに組みこんで融合蛋白を作製した。すでに作製してあったHu蛋白,Yo蛋白に加えNova-1(Ri),collapsin response mediator protein-5(CRMP-5),Ma-2,ampllipllysin蛋白を作製し,精製してウェスタンプロットおよびELISAの抗原として,抗体を検出した。多数の特異的抗原が使用可能になったことにより,本症の診断能力が格段に広がったとともに,背景に存在する悪性腫瘍の早期発見に有用な情報を提供できた。 これまでに全国諸施設から抗体診断のために寄せられた血清が約3000例集積しており,これらの網羅的な解析を続けているが,うち1500検体については本邦での各抗体の保有頻度を明らかにするべく解析を行い,抗Yo抗体は1.5%,抗Hu抗体は2.3%の頻度で検出された。抗Ri/Ma-2/CRMP-5/amphiphysin抗体の頻度については将来の課題として残った。 また,特異抗体陽性例についてはHLA型を解析し,同一抗体陽性者ではHLA class I分子のペプチド結合部のアミノ酸配列に共通性があることを見出した。 未同定の抗原を認識する抗体については,臨床像と抗体との間に一定の傾向が見いだせるか否かを検討するため,データベースを作成した。
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