研究課題/領域番号 |
14570606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川尻 真和 九大, 医学部附属病院, 助手 (00335960)
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研究分担者 |
浜田 剛 日本医科大学, 薬学部, 助手 (30291727)
池添 浩二 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (80343317)
古谷 博和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60253415)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / SCDGF-B / 運動ニューロン / VEGF |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis, ALS)では、様々な神経栄養因子による臨床治験が行なわれてきたが治療効果は未だ困難な状況にある。 Vascular endothelial growth factor (VEGF)ファミリーに属するspinal cord derived growth factor-B (SCDGF-B)は、ラット脊髄の成熟期の運動ニューロンのみにmRNAの強い発現を認め、マウス線維芽細胞に対し増殖活性を示すことより神経栄養因子の1つである可能性が考えられている。本年度はヒト型のSCDGF-B抗体を作成し、ALSの運動ニューロンにおける発現を解析した。 まずヒトSCDGF-B蛋白のアミノ酸配列を基に合成ペプチドを作成し、ウサギポリクローナル抗体の作製を行なった。作製した抗体を用い、ヒト新鮮凍結剖検材料でウエスタンブロット法を行ない、さらに正常対照4例およびALS5例の剖検材料よりホルマリン固定、30%シュクロース固定後凍結標本を作製し、腰髄の脊髄前角細胞に関して免疫組織化学的検討を行なった。ヒト剖検材料のウエスタンブロット法では、脊髄前角、前頭葉でSCDGF-Bの約37kdのバンドを確認できたが、小脳、後根神経節、脊髄前根で明らかなバンドの検出はなかった。免疫組織学的検討では、脊髄の前角細胞の神経細胞胞体にび慢性の染色を認めた。このことから、SCDGF-B蛋白は、ヒト成熟運動ニューロンに特徴的に発現していることが示された。また、正常対照5症例、ALS5症例に関する検討では、ウエスタンブロット法ではALSの脊髄前角でのSCDGF-Bのバンドは正常対照に較べ発現が弱かった。また免疫組織学的検討では、ALSの前角運動ニューロンではSCDGF-Bの染色性は正常対照より低下していた。これらの結果より、SCDGF-B蛋白の発現低下がALSの運動ニューロン変性に関与している可能性が考えられた。
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