研究概要 |
動脈硬化進展病態におけるHSP47の関与を、動脈硬化動物モデルとしてApoEノックアウトマウスを使って研究を行った。ApoEノックアウトマウス(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME : ApoE-/-mice)の動脈硬化進展状態は、適齢5,10,16,22,28(n=20)について大動脈動脈硬化巣について病理学的に検討した。結果として22適齢以降では、ヒトの動脈硬化巣に認められる泡沫化したマクロファージの集積、粥腫、線維化が進んでいた。 この病変部におけるHSP47関与を調べるために、AntiHSP47 monoclonal antibody(Stressgen Biotechnologies Corp, Victoria BC, Canada)で検討したところ、22週齢以降のApoEノックアウトマウス動脈硬化病変においてHSP47発現が増強していた、またその部立におけるtype I collagenも同時に増強していた。以上の如く、動脈硬化動物モデルであるApoEノックアウトマウスにおける動脈硬化進展においてHSP47の関与が認めらた。以上の結果より、ApoEノックアウトマウスにおける動脈硬化進展抑制作用におけるHSP47アンチセンス{FITC antisense ODNs against HSP47(5' AAQ GAG GCG CAT 3':Becks Tokyo Japan)}を作成して尾静脈より投与したが、血管内非細胞への取り込みが十分でなく、尾静脈からの注射による投与では限界があり、HSP47アンチセンス法による治療実験は現在のところ困難であった。しかしApoEノックアウトマウスの動脈硬化の進展にHSP47が関与していることが示され、我々が平成11-12年度の文部科学省科学研究費による腹膜硬化抑制実験においてHSP47アンチセンス法による研究が成功しており、投与法の工夫などにより今後も検討を続けていく予定である。
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