研究課題/領域番号 |
14570727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
真部 淳 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20292849)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 神経芽腫 / 分子標的療法 / HER2 / neu / HER-2 |
研究概要 |
本研究は神経芽腫に発現しているがん遺伝子産物HER-2/neuに対する分子療法の開発を目的とした。最近、成人のHER-2/neuを高発現している乳がんに対して、ヒトHER-2/neuに対するマウスのモノクローナル抗体をヒト型に改変(ヒトとマウスのキメラ抗体)した製剤(trastuzumab)が開発され、2001年6月に保険収載された。HER-2/neuは、1980年代前半にラットの神経芽腫において発見されたがん遺伝子である。ヒト神経芽腫におけるHER-2/neuの発現を調べた報告は少なく、また神経芽腫細胞に対するtrastuzumabの効果を調べた研究はない。今回我々は、神経芽腫の臨床検体を用いてHER-2/neuの発現を調べ、臨床応用への可能性を検討した。 ステージ4の神経芽腫患者より、両親から同意を得た後、骨髄細胞を採取した。比重遠心法により単核球を得た後、Engelbreth-Holm-Swarm Natrixを塗布したフラスコに入れ、培養を開始した。付着細胞の細胞表面GD2(神経芽腫に特異的に発現する)をフローサイトメトリーにより調べた。次いでGD2陽性腫瘍細胞を回収し、サイトスピン標本を作成し、免疫染色によりHER-2/neuの発現を調べたところ、11例中1例において弱いながらもの発現を認めた。この症例において、神経芽腫細胞を短期培養し、trastuzumabに対する感受性をADCC (antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)アッセイにより検討したが、顕著な効果は認められなかった。 過去の病理組織を用いた報告では進行性神経芽腫症例の多くはHER-2/neuが陽性であったが、今回の培養細胞を用いた検討ではほとんどの症例が陰性であった。培養神経芽腫を用いた系はin vitroにおいて薬剤の効果をみることのできる利点があるが、残念ながらHER-2/neuの有用性を示す症例はなく、臨床応用は困難であると考えられる。
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