研究概要 |
Gitelman症候群に特徴とされる低Mg血症が見られないChloride channel Kbの遺伝子異常を有するGitelman症候群患者や、低Mg血症、尿中Ca排泄低値などGitelman症候群に特徴的な検査所見を呈しhiazide-sensitive Na-Cl cotransporter遺伝子の異常を有するBartter症候群III型の患者が報告され、診断上の混乱が見られている。Bartter症候群の原因には1)thiazide-sensitive Na-Cl cotransporter,2)potassium channel,3)chloride cahnnel Kb,4)barttinの4つが知られており、Bartter症候群の診断には原因遺伝子を考慮したBartter症候群の病型毎の診断基準が必要とされている。 私どもは学童期発症のBartter症候群6家系の患者において、)bumetanide-sensitive Na-K-Cl cotransporterをコードするNKCC2遺伝子とChloride channel KbをコードするCLCNKB遺伝子とを解析した。その結果、3名の患者にCLCNKB遺伝子の異常(65base deletion, Q29X, A799V;いずれもホモ変異)を、3名の患者にALC12A3遺伝子の異常(2311 A deletion, T485S, R881C;いずれもホモ変異)を認めた。 以上の結果をまとめると、低Mg血症を呈しGitelman症候群の診断基準を満たす症例の一部にChloride channel Kbの異常に起因する患者が存在することが明らかとなった。平成14,15度の研究成果を踏まえ、臨床症状、発症時期、臨床検査結果に遺伝子解析の結果を加味した新たな診断基準案を作成した。
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