研究課題/領域番号 |
14570807
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上田 正登 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20176598)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 紫外線皮膚発癌 / プロモーター / シクロオキシゲナーゼ2 / 活性酸素 / EGF受容体 / 酸化ジアシルグリセロール / テロメレース / アポトーシス / ゲニステイン |
研究概要 |
1)紫外線皮膚発癌にシクロオキシゲナーゼ2(Cox-2)がプロモーターとしての役割を果たしていることが示唆されてきた。その誘導メカニズムにつき培養表皮細胞株HaCaT細胞を用いて検討した。中波長紫外線(UVB)によるCox-2の誘導は活性酸素を抑制するN-acetylcysteineにより部分的に抑制され、UVBにより生成する活性酸素の関与が示された。EGF受容体の抑制剤や中和抗体によりCox-2誘導は阻害された。EGF受容体のリガンドの一つであるTGF-αの中和抗体はこの誘導を阻害せず、UVBがEGF受容体を直接的に活性化しCox-2を誘導する可能性が示された。 2)酸化ジアシルグリセロールが腫瘍プロモターとして作用する可能性を考え、SENCARマウスを用い、DMBAでイニシエートした後に酸化ジアシルグリセロールを繰り返し塗布したが、TPAをプロモーターとして使用した場合と異なり、腫瘍形成はみられず、酸化ジアシルグリセロールが紫外線皮膚発癌の腫瘍プロモーターとして働く可能性は証明できなかった。 3)テロメレースはほとんどの癌で活性化されており、これを抑制することが発癌の抑制に重要である。紫外線がEGF受容体を活性化し有棘細胞癌のテロメレースを活性化する可能性を有棘細胞癌細胞HSC-1を用い検討した。EGF受容体の抑制剤AG1478で処理するとテロメレース活性は抑制され、細胞増殖も抑制された。同時にテロメレースの触媒サブユニットであるhTERTの発現も低下した。HTERTの転写因子であるc-MycとSp-1の発現が低下し、c-Mycに競合するMad-1の発現は増加した。ERK, Src, Aktの抑制剤もテロメレース活性を抑制したが、AG1478による効果には劣るものであった。従って、EGF受容体の活性制御により発癌予防や腫瘍抑制が期待できると考えた。 4)アポトーシスの誘導は、発癌予防や腫瘍抑制に有効と考えられる。悪性黒色腫は抗癌剤に抵抗性で、難治性の腫瘍である。悪性黒色腫細胞の抗癌剤感受性を上げる手段として、大豆のイソフラボンであるゲニステインのアポトーシス誘導能力を検討した。ゲニステインで黒色腫細胞を前処理することによりシスプラチンによるアポトーシスが増強した。ゲニステインとシスプラチンの処理にて抗アポトーシス蛋白であるbcl-2とbcl-xLの発現が低下し、アポトーシス誘導蛋白Apaf-1の発現が増強した。
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