研究概要 |
本研究に参加することを同意した患者は大きさ6x8mmまでの病変をUSB-マイクロスコープM2で撮影して保存した.登録患者はUSB-マイクロスコープM2を用いて原則として3ヶ月ごとに臨床写真およびダーモスコープ写真を偏光ありおよび偏光なしのモードでそれぞれ撮影し、JPEG圧縮保存した。保存された画像は電子メール用アプリケーションを用いて,添付書類として研究分担者小林およびソイヤーに送信した.色素性病変の登録患者数は12例であった.当初考えていた母斑細胞母斑が中心ではなく,脂漏性角化症,日光黒子などの皮膚病変が混入していたためこれらの診断やダーモスコープ所見にも注意を払う必要が生じた. 保存画像は暗いものやホワイトバランスの合っていないものが多く,そのままでは正診率に影響すると思われたため,周囲皮膚色を基準に画像を標準化した. 遠隔診断できた症例数は少ないため,統計的に評価するには至らなかったが,ほぼ90%の正診率で正しく診断することが可能であった.画像数が少なく,画質がそれほどの高画質でなくとも診断が可能と思われた.しかしながら,短期間の経過観察のみでは悪性の場合でも変化が少ないため,さらに継続して経過を観察していくことが重要である.現在までに悪性と考えられた症例は1例もなかった. このシステムではごく早期の病変を評価するため悪性黒色腫が入ってくる可能性は低いが,さまざまな色素性皮膚病変,すなわち母斑細胞母斑の他に,基底細胞癌,脂漏性角化症,日光黒子などが含まれることが示された.
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