研究概要 |
Tc-99m-Annexin V(Tc-AV)を用いてラット心筋虚血再灌流モデルにおけるアポトーシスの経時的変化を検討した。ウイスターラットにおいて左冠動脈(LCA)を20分(n=28)、15分(n=23)、10分(n=23)、5分(n=12)の間閉塞し、その後再灌流30、90分、6、24時間後にTc-Av(100-200MBq)を投与した。1時間後屠殺した。2核種オートラジオグラフィにてTc-AV(アポプトーシス)とT1(虚血範囲)の分布を画像化し解析した。5分閉塞群を除きTc-AVは不均一に再環流30、90分にて虚血部のmid myocardiumに集積し、6時間で心外膜、内膜側に拡大する傾向を示した。正常部に対する虚血部のTc-AVの集積はすべての再灌流時間において20分虚血で最も強く、15,10分では順次低下した。再環流30分での集積比は20,15 10,5分虚血群でそれぞれ7.36±2.95,4.46±3.16,2.02±0.47,0.97±0.08であった。再環流90分での集積比は20,15,10,5分虚血群でそれぞれ6.34±2.24,3.49±1.78,1.47±0.11,0.87±0.06であった。再環流6時間での集積比は20,15,10分虚血群でそれぞれ4.65±1.93,1.60±0.43,1.34±0.23であった。再環流24時間での集積比は20,15,10分虚血群でそれぞれ3.27±0.92,1.50±0.33,1.28±0.33であった。20分虚血再環流3,14日での集積比はそれぞれ1.84±0.55,1.65±0.31であった。20分虚血では明かな梗塞巣を認めたが、15分虚血では1%以下の梗塞病巣のみであり、10分以下の虚血では梗塞はなかった。以上より、アポトーシスは虚血再還流直後より生じ時間経過とともに低下してゆくことが示された。またそれは虚血の強度に依存して生じ、梗塞を起こさない虚血でもアポトーシスが生じていることが示唆された。
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