研究概要 |
本研究は、臨床用のmulti-detector CTによる腰椎画像から3次元骨梁構造解析を行い、骨脆弱性の評価がインビボにて可能であるかを検討するものであるが、横断的検討として得られた47名の女性において、骨梁構造パラメータと腰椎骨量との相関及び、骨折者の識別能について検討を行った。対象の女性(平均71才)の中で、20名は脊椎無骨折(平均67才)、27名は有骨折者(平均74才)。骨梁構造パラメータとして骨密度(BV/TV),骨梁幅(Tb.Th),骨梁数(Tb.N),骨梁間隙(Tb.Sp),骨パターンファクター(TBPf),Structure Model Index(SMI),フラクタル次元(FD)の算出を行った。同時期にGE-ルナー社製DXA装置、DPX-LにてL2-4の腰椎骨量測定を行い、L3腰椎の骨量を求めた。3次元骨量構造パラメータと骨量との相関を1次回帰直線にて行い、無骨折者と有骨折者との識別能をt検定にて検討した。P<0.05を有意とした。第3腰椎骨量とBV/TV,Tb.Sp,TBPf,SMI,FDの間に、この順に0.30,0.32,-0.46,-0.44,034(p<0.05)の有意な相関を認めた。骨折者の識別については、TBPf,SMI,FDが、それぞれ、t値=2.6,3.2,2.4にて有意差を認めた。また、L3BMDは両者の識別ができなかった。骨梁構造パラメータの中で、TBPf,SMI,FDは、骨量との相関を認め、骨折者の識別が可能であり、骨構造の脆弱性を評価できることが確認された。この方法により、インビボにおいて脊椎骨の骨梁構造の解析が可能であり、骨折の危険度評価に有用である'ことが示唆された。この実績報告は、平成16年10月1-5日、アメリカ合衆国シアトル市にて開催された第16回アメリカ骨ミネラル代謝学会にて行ったが、現在論文を作成中である。この方法にて経年的に骨梁構造の変化を捉えることができるかどうかを検討する為に、同一症例の2年目、3年目、4年目の撮像を行い、解析を行った。数値の変動量が小さい為と思われるが、4年間の経過観察では、有意な変化を認めなかった。
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