研究概要 |
早期肺がんを発見するために胸部CTを用いた検査が増加し,医師は,多数のスライス画像を読影する必要が生じてきた.また,早期肺がんと関係がある小さな結節状陰影の画像上でのコントラストは部分容積効果のために低くなり,検出が困難である.そのために,医師にとって,胸部CT画像診断は大変負担のかかるものとなっている.そこで,小さな結節状陰影部を選択的に強調することができる,サブトラクションCT技術の開発を行った. この研究では,スライス画像毎のサブトラクション画像を得るために,それぞれのCTスライス面における"マスク画像"を作成する技術と,繰り返しワーピング法によってサブトラクション画像を作成するスライス画像とそのマスク画像を整合させる技術の開発を行った. マスク画像を作成するために,モーフォロジカルフィルタ処理を用いた.この処理を行って得られたマスク画像においては,サブトラクション画像を作成する面におけるCTスライス画像に存在する結節状陰影は除去され,サブトラクション画像を作成する面におけるCTスライス画像における血管陰影と残された画像が得られる.そして,サブトラクション画像を作成するCTスライス画像とそのマスク画像とのずれを繰り返しワーピング法で整合させ差分をとることによって,結節状陰影が黒く強調された画像を得ることができた. さらに,血管に起因するアーチファクトを減少させるために,サブトラクション画像を作成するCTスライス画像に対して線強調フィルタ処理を行って線状のパターン(血管陰影)を抽出し,マスク画像にそれを加えた.この処理により,血管によるアーチファクトが減少した.
|