研究課題/領域番号 |
14570921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
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研究分担者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | アポリポ蛋白A-II / アポリポ蛋白C-II / アルツハイマー病 / マイクロサテライト / スプライシング / Z-DNA / シスタチオニンβシンターゼ / アルブミン / アポリポ蛋白E |
研究概要 |
高齢発症型アルツハイマー病(以下、LOAD)の患者の血漿脂質、特にアポリポ蛋白濃度は健常対照と比較して、アポリポ蛋白A-I、アポリポ蛋白A-IIの低下が認められる。そこで、アポリポ蛋白遺伝子群のマイクロサテライト多型に着目し、その遺伝子多型とLOAD発症との関係を検討した。まず、アポリポ蛋白A-II遺伝子マイクロサテライトリピート長の総量はアポリポ蛋白E-e4キャリヤーでのLOAD発症年齢に逆相関することが明らかにされた(p<0.001)。このマイクロサテライトはエクソン3のスプライス受容部位(5'側)に位置しており、リピート数が多いほどエクソン3の欠損を生じる量が増加していた。しかし、エクソン3欠損アポリポ蛋白A-IImRNAは翻訳能力が失われており、結果としてリピートが長いほど発現量が低下すると考えられた。さらに他のマイクロサテライト機能を検討するため、アポリポ蛋白C-II遺伝子に着目した。この遺伝子には第1エクソンの上流にマイクロサテライト多型が存在し、その遺伝子座位はLOADリスク遺伝子であるアポリポ蛋白E遺伝子から50kb以内に近接している。その結果、アポリポ蛋白C-II遺伝子マイクロサテライトリピート長の総量はLOADの発症年齢と相関を示し(p<0.0001)、リピート長の総量が多いほど発症年齢が遅延していた。この効果はアポリポ蛋白E-e4アレルキャリヤーに限定しても有意に認められた。一方、血漿中アポリポ蛋白C-II濃度はアポリポ蛋白C-IIマイクロサテライトのリピート長の総量が多いほど血漿アポリポ蛋白C-II濃度が有意に低い傾向が認められた(p<0.05)。これらのイントロンに位置するマイクロサテライトは遺伝的発現量規定因子として作用していると結論された。加齢に伴いアポリポ蛋白A-IIは減少し、アポリポ蛋白C-IIは増加する傾向が見られ、老化因子の作用を受けると考えられる。また、マイクロサテライトはZ-DNA構造を取りやすいことが報告されていることから、マイクロサテライト構造が老化因子の標的となり、LOAD発症の老化的遺伝因子として作用すると考えられた。以上の結果は、マイクロサテライト構造を標的とする因子が老化に関与することを示唆している。
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