研究課題/領域番号 |
14570964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 聡 東京大学, 医科学研究所, 講師 (60226834)
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研究分担者 |
大井 淳 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20302606)
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / 癌免疫 / 細胞療法 / ターゲッティング / アデノウイルス / CD40リガンド / 白血病 / ランダムペプチド発現ファージ・ライブラリー |
研究概要 |
CD40Lは本来生体内のリンパ球が発現するサイトカイン類似蛋白の1種であり、癌やウイルスに対する免疫応答を強力に誘導できる機能分子である。CD40分子を発現するB細胞性白血病に対しては、CD40の活性化を通して腫瘍抗原の発現を上昇させ、腫瘍免疫増強ワクチンとして用いることが期待できる。 しかしながら、ヒトCD40L遺伝子を白血病細胞直接導入することは一般的に困難をともなう。そのため、まず我々はB-CLL細胞表面上にCD40Lの発現を誘導する方法を開発した。すなわち、アデノウイルス(Ad)ベクター系を用いてヒトCD40L遺伝子をヒト胎児肺線維芽細胞株であるMRC-5細胞に導入し、B-CLL細胞をこれと共に培養した。共培養後の白血病細胞を解析してみると、CD40Lの高発現と共にB7-1、B7-2、ICAM-1の発現の上昇が確認でき、これらはサイクロヘキサミドによって抑制を受けることから、CD40の刺激由来であることが明らかとなった。一方で、蛋白合成阻害はCD40Lの発現は阻害しないことから、CD40L発現はMRC-5細胞からの蛋白細胞間移行によるものと考えられた。この方法は、臨床グレードへスケールアップする有力な方法の1つである。 一方、我々はCLLに対する白血病細胞特異的ペプチドの探索を、ランダムペプチド発現ファージ・ライブラリーを用いておこない、患者白血病細胞特異的なペプチドの同定を試みた。この方法により、44種類の20-merペプチドを選び出し、そのうちの29種類について、白血病細胞への結合能を評価したところ、14種類のペプチドは白血病細胞のみならず、B, Tリンパ球、および単球に結合したが、8種類のペプチドはCLL細胞のみに結合することが明らかとなった。これらの結合能の特異性はセレクショシに用いた標的細胞によって大きく異なり、一部の患者由来の細胞を用いた場合は、白血病特異的なペプチドが得られた一方で、他の患者由来の場合は、血液細胞一般に結合するペプチドが選択された。ペプチド自体の細胞結合能を評価するために、ファージから離した状態で結合能を調べたところ、1種類の合成ペプチド(1-5)を用いた場合に、患者由来の白血病細胞へのターゲッティングが可能となり、Adベクターを用いてのex vivoにおける遺伝子導入効率が高まることが明らかになった。 現在、これらの方法の臨床研究への応用を試みている。
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