研究課題
基盤研究(C)
急性骨髄性白血病(AML)の微少残存病変(MRD)ではP糖蛋白(P-gp)発現細胞が残存しており、耐性克服剤を併用することで既存の抗腫瘍剤とは作用機序の異なるgemtuzumab ozogamicin (GO)の効果が期待された。再発が主問題とされるAMLの寛解後療法や造血幹細胞移殖の前処置や腫瘍細胞のpurgingに応用される可能性が高い。急性前骨髄球性白血病(APL)では他のAMLに比較して白血病細胞表面CD33発現量が多く、再発例においてもP-gp発現量は少量である。このためGOの標的細胞となりやすい。またall-trans retinoic acid (ATRA)や亜砒酸(ATO)による治療が標準的治療方法となったAPLにおいてもまったく作用機序の異なるGOは交差耐性を認めなかった。今回の研究により臨床検体ではCD33発現量とGOの薬剤効果との間には正の相関関係がありP-gpの発現量とGOの薬剤効果との間には負の相関関係があることが判明した。耐性克服剤とGOとの併用はcalicheamicinの薬剤耐性を解除し、殺白血病細胞効果を発現させることが判明した。CD33以外の細胞表現型では未分化細胞に多く発現されるCD34に関してその発現量とGOの薬剤効果を検討したが、相関関係を認めなかった。GOの臨床応用に際してはCD33とP-gpの発現量をflow cytometry上で測定することが必要であることが示唆された。APLにおいてはATRAやATO耐性細胞においてもP-gpが発現されていないかぎり、GOの薬剤効果が得られることが判明した。またGOとATRAやATOとの併用効果があることがin vitroで証明され、今後の臨床応用が期待される。本研究に使用したcytometry上CD45とCD33陽性細胞をgatingした上でその細胞回転を分析し、GO投与前にその薬剤効果を検討する方法は、患者の効率的治療に役立つと思われた。
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