研究課題/領域番号 |
14570994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
諏合 輝子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60183844)
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研究分担者 |
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
遠藤 仁司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50221817)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 血管修復 / 血栓 / 血管内皮細胞 / フィブリン / コラーゲン / 細胞支持体 / 損傷細胞 / フィブリノゲン / プラスミン / 創傷治癒 / 血管壁 / 人工血管 |
研究概要 |
血栓は血管損傷部位を血流などの外部環境から保護するという役割以外に、各種炎症性細胞群との相互作用の場を提供して、損傷部位の組織再構築にも深く関わっていると考えられる。この仮定を証明するためには、長期に血管内皮細胞(EC)が生育できる培養環境を整える必要があり、まずこれに着手した。そこでこれまで疑似血管壁として検討してきたコラーゲンゲルに、様々な因子を混在させ、この上にECの培養を行った。その結果、ヘパリン硫酸を含むペプシン非処理Type IとIVのcollagenからなるコラーゲンゲル上に、低seedinddensity(1~4 x104)でECを蒔くと10日でconfluentに達し、以後週1度の培養液交換でconfluencyを保ったまま2ヶ月以上生存し、長期培養が可能となった。この培養条件下で、ECに機械的および酵素処理による細胞損傷を加え、その回復過程を走査電子顕微鏡で観察した結果、ECは損傷部位や自身の周囲の環境を"認知"して、形態を保持あるいは変化させ、一定方向に配向して分裂・増殖を行うことが判明した(投稿準備中)。現在、この"認知"現象の物質的裏付けを遺伝子工学的手法を用いてどのような遺伝子が関与しているのか検討中である。また、この認知を行う細胞内構造体を電子顕微鏡観察で追求している。一方、こうした損傷モデル系を用いて、損傷細胞上にfibrinが存在すると細胞の損傷回復が早まる傾向が認められたため、現在、種々のfibrin構造を形成する異常フィブリノゲンを利用して、どのようなfibrin構造が、損傷からの回復に有効であるか検討中である。 こうした研究と平行して、当教室でこれまで研究してきた30数種の異常Fbgの電子顕微鏡によるFbn立体構造の解析などを行い、出血や血栓傾向などの臨床症状を示す異常フィブリノゲン(Fbg)患者の異常分子は、すべて正常Fbnとは構造も性質もかなり異なるFbnを形成することが判明した。また、強いプラスミン抵抗性を持った細いFbn線維からなるメッシュ状の異常Fbnを形成する異常分子を持つ患者は、血栓傾向が高く血管修復や創傷治癒不全を示すことが明かとなった。しかし、細い線維からなるメッシュ構造を形成しても、線維の強度が低い場合やプラスミン抵抗性を持たないFbn線維である場合は、創傷治癒遅延を引き起こさないことから、プラスミンによるFbn網の分解が、血管修復に必須であることが明かとなった。(投稿準備中)
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