研究課題
基盤研究(C)
多数の骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)および白血病化したMDSについて、Blastretreiver液を用いた比重遠心で芽球を精製後、その性状を検討し以下の結果を得た。1.殆どの例の芽球はCD34+CD38+HLADR+CD13+CD33+を示し、約6割の例でmyeloperoxidase染色陰性であった。したがって、MDS芽球はde novo急性骨髄性白血病芽球に比べ幼若であった。2.MDS芽球はしばしば幹細胞抗原と成熟血球抗原を同時に発現していたが、T-,B-cell特異抗原の発現は稀であった。3.成熟骨髄系抗原(CD10,CD15)の発現はlow-risk MDS例に、未熟骨髄系抗原(CD7,CD117)の発現はhigh-risk MDSと白血病化MDS例に有意に多かった。この病型に関連した抗原発現の変化は、病型進展前後で芽球を解析した例でも確認された。また、骨髄の芽球比率との関連を見ると、骨髄での芽球比率が高くなるにつれ芽球が未熟な形質を示す確率が高く、推計学的には、骨髄の芽球比率5%、10%、20%、25%を境として、芽球がCD7、CD56あるいはCD117を発現する確率が増し、逆にCD10,CD11bあるいはCD15を発現する確率は減少した。したがってこれらの骨髄での芽球比率を用いたMDSの分類は、生物学的に根拠のあるものと考えられた。4.芽球がCD7陽性であることは独立したMDSの予後不良因子であった。5.一部の症例にCD45陰性芽球が見い出され、この細胞は(1)CD34や他の造血系統マーカーも陰性で、(2)stroma細胞と共培養するとCD34陽性細胞に分化し、コロニー形成能を獲得すること、などを確認した。これらより、この細胞は極めて未熟なMDS幹細胞ではないかと考えられた。
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Stem Cells (in press)
Leukemia Research 28・11
ページ: 1171-1175
Leukmia Research 28-11
Blood 100・12
ページ: 3887-3896
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