研究課題
基盤研究(C)
我々は、初めてほ乳類からHSP60を精製し、特異抗体を作製した。これを用いてHSP60の細胞内局在を検討し、ミトコンドリア以外に細胞質にも存在することを明らかにした。HSP60の腎臓での機能を解明するため、脱水ラット腎を用いてHSP60の細胞内局在変化を検討した。HSP60は腎皮質、髄質、乳頭部のいずれにも存在した。脱水により乳頭部のみにHSP60の高発現を認めた。細胞各分のimmunoblotによる検討では、細胞質各分で著減し、ミトコンドリア各分で増加が認められた。HSP60は脱水などのストレスにより、細胞内局在が変化することが判明し、HSP60は高浸透圧の維持や水代謝に関連している可能性がある。我々は、睾丸特異的105kDaストレス蛋白質(HSP105)を精製し、特異抗体を作製した。これを用いて腎臓での局在を検討し、髄質に局在すること明らかにした。また、HSP105は既に報告されているosmotic stress protein 94 (OSP94)と同蛋白質であることを明らかにした。我々は、ラットにgentamicin(GM)を投与し、障害された近位尿細管上皮細胞ライソゾーム内にHSP73が集簇することを報告した。この機序を解明するため、GMアフィニティーカラムと豚腎細胞質画分を用いてGM特異的結合蛋白質を検討し、それをHSP73と同定した。CDスペクトラ解析で、HSP73にGMが結合しHSP73の構造が変化することが判明した。HSP73はrhodaneseの凝集を防止するchaperone活性を有するが、そのchaperone活性がGM添加で抑制された。GMのHSP73結合部位は、C端側ペプチド結合ドメインであった。これらより、GMはHSP73と特異的に結合しHSP73のchaperone活性を抑制し、HSP73の生理的役割を阻害し腎毒性を引き起こす一つの原因と考えられた。
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