研究課題/領域番号 |
14571024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (30283815)
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研究分担者 |
三輪 岳志 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 助教授 (20174229)
今井 圓裕 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00223305)
安東 明夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (00028656)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 平滑筋αアクチン / c / EBPδ / all trans retinoic acid / myofibroblast / ノックアウトマウス / C / 平滑筋アルファアクチン / CEBPα / CArG element |
研究概要 |
我々は平滑筋αアクチン(SMA)が腎線維化過程で早期より出現することに注目し、その転写制御機構解明を通じて腎線維化機構解明を進めている。SMAの転写調節因子をcDNAcloningにて同定したところ、そのうちの一つとしてCEBPdeltaが見いだされた。CEBPdeltaはサイトカイン、接着因子などの転写を促進することが知られているが、我々は初めてSMAの転写調節に関わることを明らかにした。さらにCEBPdeltaの腎線維化病変形成への関与を明らかにし、その抑制が腎疾患治療の治療手段となる可能性を検証する目的で、CEBPdeltaのノックアウトマウスを用いた実験を実施した。 C/EBPδノックアウトマウスでは尿細管間質病変が軽度である。 C/EBPδ遺伝子、蛋白発現はmyofibroblastで増強が認められたが、次の疑問はC/EBPδの抑制がmyofibroblastの抑制に結びつくかという点であり、我々は大阪大学微生物病研究所審良静夫教授らにより作成されたC/EBPδノックアウトマウスを供与いただき、一側尿管結紮による間質線維化病変を作成し、野生型と比較した。ノックアウトマウスでは間質線維化病変およびSMαAの発現が野生型マウスでの病変に比べて有意に軽度であった。ノックアウトマウスでの解析をそのままC/EBPδ抑制治療効果になぞらえるのは早計であるが、C/EBPδ抑制が線維化治療となる可能性が示されたものと考えられる。現時点で、C/EBPδを特異的に抑制する手段はなく、この面からの治療薬の開発には至らないが、我々は最近、all-trans retinoic acid(ATRA)投与により抗GBM抗体腎炎ラット治療実験をおこなったところ、線維化、半月体形成などがATRA投与によって有意に抑制されることを見いだした。ATRAの抗炎症、抗増殖作用の機序として転写因子AP-1の構成因子であるc-fos、c-junの発現を抑制することが提唱されているが、今回我々は糸球体のc-fos、c-jun遺伝子発現の抑制に加えてC/EBPδ発現もATRA投与によって著明に抑制されることを見いだした。 SMαAは線維化病変形成の悪役か? SMαAの転写因子解析によるmyofibroblast形成機序解明へのアプローチに際して避けられない疑問として、SMαAは単なるマーカーの一つに過ぎないだろうに、その転写因子が本当に線維化の病態に関わるのか、という点がある。上述したように、我々が見いだしたC/EBPδはSMαAの転写制御のみに関与するのではなく炎症を促進するサイトカインの転写制御をも通じて線維化病変の形成に役割を果たす可能性が明らかとなった。我々はSMαAそれ自体の病態への関与の有無を明らかにしたいと考え、現在、米国ベイラー大学Schwartz教授らとの共同研究によりSMαAノックアウトマウスに対して種々の腎障害を惹起し、その病態解析を進めているところである。この一連の研究によりSMαA自体の病態への関与が明らかになることを期待している。
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