研究概要 |
仮説と目的 障害を受けた未熟損傷肺に対して、潜在型TGF-β活性化拮抗オリゴペプチド(LSKL)を投与することによって、TGF-βの活性を抑制し肺線維化を軽減できるのではないかとの仮説をたてた。14年度は、ブレオマイシンによる肺線維化モデルラットをもちいて、LSKLを吸入により投与し、1)2週間後の体重増加の比較、2)肺コンプライアンスの比較、3)肺実質のヒドロキシプロリン量の比較、において、いずれもLSKL群が生食群に比較して、肺線維化を軽減し、損傷を抑制することを明らかにした。15年度はこのモデルにおいて、TGF-β活性化が実際に抑制されているかどうか検討した。 方法 4週齢のSDラットの気管内にブレオマイシン(15mg/kg body weight)を投与し、肺線維化モデルを作成し、生食またはLSKLをチャンバー内で30分間、吸入させ、day1,day3.day7の肺実質のactiveTGF-β/total TGF-β比を比較した。(各N=1〜3)。 結果 day1,day3.day7の肺実質のactiveTGF-β/total TGF-β比は、生食群では、1.61,1.65,1.92 LSKL群では、0.90,1.50,1.11であり、LSKLの吸入によって、TGF-βの活性化が抑制された可能性が示唆された。 結論 一連の結果より、LSKLの吸入による投与は、このモデルにおいて、TGF-βの活性化を抑制し、線維化を軽減し、生理学的なパラメータを改善した。今後は、臨床応用を目指し、投与方法や安全性等検討したい。
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