研究課題/領域番号 |
14571132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 英年 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70242758)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 血行性骨髄移植 / ドナー特異的免疫寛容 / 幹細胞移植 / マクロキメリズム / 臓器移植 / 免疫寛容 / 組織特異性 / キメリズム |
研究概要 |
成人においてドナー特異的免疫寛容の誘導・維持機構の解明は、腫瘍免疫・自己免疫疾患・再生医療の分野を含めた研究者の究極の目標である。現在、骨髄移植においては術前致死量の放射線照射と術後永続する免疫抑制剤の投与が必要とされている。そこで、臓器としての血行性骨髄移植モデルを確立し、その免疫寛容誘導能を利用して術前致死量の放射線照射と永続する免疫抑制剤の投与を必要としない戦略を探求した。 実験モデルはラットを用い、骨髄・骨膜の栄養血管を付随させ遊離したラット大腿骨・骨髄をレシピエント腹腔内大動脈・下大静脈に端側吻合した。High responderの同種異系(allograft)である、BN(RT1^n)からLewis(RT1^1)への移植を実施した。この血行性骨髄移植モデルを用いた場合、移植後短期非特異的免疫抑制(Tacrolimus 1mg/kg/day for 10days)のみで、長期(>650days)にわたる移植片の生着と、ドナー細胞(by the donor specific monoclonal antibody)の循環末梢血中を含め各種リンパ組織でのキメラ(マクロキメリズム:20%前後)状態をフローサイトメトリーにて確認できた。 寛容状態に関しては、2次的に移植したドナー特異的心移植片の長期生着を認めるものの、皮膚移植片は生着しなかった。しかし、血行性骨髄移植と皮膚移植を同時に実施した場合、皮膚移植片の拒絶反応遅延や長期生着を認める(>100days)場合があり、皮膚特異抗原刺激と非特異的免疫抑制が免疫寛容誘導戦略として必要であることが示唆された。マクロキメリズムの動態に関しても、長期観察により興味ある結果が得られた。移植後5-10週で維持された約10%前後のドナー細胞は、移植後20-30週の時点で急速に減少した(マクロ⇒一部組織でミクロキメリズム変移)。しかし、移植後40週前後よりリンパ節と末梢血中での急激なドナー細胞の増殖を認めた(>60%)。さらに、移植後90-95週になるとキメラドナー細胞の主体は脾臓に移動し(30%前後)、各種リンパ組織に分布していた。ドナー細胞のなかでmyelocytesはlymphocytesに比較し、移植直後より常にキメラ状態の優位性が保たれていた。特に、SIRP(Signal regulatory protein)陽性のmyelocytesは一時的にドナー細胞に完全置換されていた。 以上より、臓器としての血行性骨髄移植モデルを用いて、少なくともドナー特異的免疫学的不応答が確立できた。さらに、キメラ動態の解析による長期マクロキメリリズムが確認できた事は、移植免疫のみならず再生医療における幹細胞の微小環境の役割や骨髄移植片の抗腫瘍効果の解析に有効な実験モデルである事が示唆された。
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