研究概要 |
研究計画に基づき研究を行い、以下を明らかにした。 1.ピロリ菌感染スナネズミ(Mongolian gerbil)モデルに十二指腸液胃逆流手術を施行した。死亡率の低い安定した動物モデルを確立した。十二指腸胃逆流は以下の作用を示した1)初期のピロリ菌胃炎の活動度を低下せせる2)上皮細胞回転亢進を相加的に促進する3)胃内細菌叢の変化は十二指腸胃逆流症の発症の要因である。 2.糖転換酵素α14-N-アセチルグルコサミン転換酵素(α4GnT)は粘膜宿主反応の一つである腺粘液細胞ムチンの産生をつかさどる。スナネズミにおけるα4GnT,IL-1β,TNFα,IL-4,IL-6,IL-10のmRNA定量法を確立し,ピロリ菌感染時の経時的変動を観察した。1)感染早期に胃粘膜内α4GnT mRNA発現は有意に増加した。2)IL-1β、TNFαのmRNAはα4GnTmRNAと同様の変化を示した。3)ILF-4,6,10のmRNAは感染後期に増加した。胃粘膜免疫反応は経時的にTh1優位からTh2優位へ転換した4)ピロリ菌胃炎においては腺粘液型ムチンが粘膜表層に厚い粘膜ゲル層ないしムコイドキャップを形成した。 3.ピロリ菌の胃粘膜障害性はprobioticsである米精製エキスで抑制可能である。 4.ピロリ菌とニトロソ化合物を併用した発癌実験系において、Th1系Th2系双方のサイトカイン発現が亢進した。ピロリ菌感染スナネズミモデルは、ピロリ菌感染症の宿主応答と各種環境因子の相互作用解析に有用である。
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