研究課題/領域番号 |
14571202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 香川大学(医学部) |
研究代表者 |
出石 邦彦 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (50325346)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | preconditioning / PI3 kinase / Akt / Wortmannin / 肝臓 / 虚血再灌流障害 / PI13-kinase / apoptosis / 肝温虚血再潅流障害 / PI3-kinase |
研究概要 |
様々な臓器において、preconditioningによる虚血再潅流後の臓器保護作用が報告されているが、そのメカニズムはいまだ明らかではない。その分子生物学的メカニズムを明らかにするため、preconditioningによるpohosphatidylinositol 3-kinase (PI3 kinase)/Akt-signaling survival pathwayのAktの活性化について検討した。予備実験において我々は、全肝虚血を行うために、2週間前に皮下に脾臓を固定することで門脈の鬱血を防ぎ、70分間の肝虚血を行った。この結果、Aktはpreconditioningにより再灌流後に著しいリン酸化を起こすことを見い出し、Transplantation Proceedingに発表した。しかしながら、再灌流後の生存率などのデーターに安定性がなかったため、70%の肝虚血モデルに変更し、以下の結果を得た。Balb/c miceを用いた10分間の虚血と10分間の再灌流によるpreconditioningを行い、その後、90分間の肝虚血を行った。Akt proteinと、そのリン酸化タンパクを各時間ごとにWestern blot法で測定したところ、preconditioningを行ったグループでは行わなかったグループに比べ、再灌流後30分で著しい活性化を認め、3時間後まで持続することがわかった。90分間の肝虚血により血清中のalanine aminotransferase (ALT)は著しく上昇し、肝組織は病理学的にも著しいダメージを受けていた。Preconditioningを行うことでALT値、組織学的傷害は著しく低下し、術後7日目の生存率も33%から73%にまで改善した。Preconditioning後のWortmanninの投与によりpreconditioningによる保護作用は消失し、ALT値、組織学的傷害はpreconditioningを行わなかったグループと同程度にまで戻り、生存率は40%と低下した。In vitroで虚血再灌流傷害におけるAktの活性化の重要性を確認するため、Hep G2細胞を用い、dominant active Akt1 expression vector、negative Akt1 expression vectorをtransfectionした。虚血状態に4時間置いた後、正常培養状態に戻すことで再灌流を行った。再灌流4時間後.細胞の生存率を検討したところ、dominant active Akt1 expression vectorをtransfectionしたHep G2細胞は、虚血再灌流に対する耐性を獲得していることがわかった。これらの結果は、マウス肝臓においてPI3 kinase/Akt pathwayは、preconditioningの臓器保護作用の形成に不可欠なものであることを示していた。Akt pathwayは虚血再灌流傷害に対する遺伝子治療、薬物治療の一つの重要なターゲットになると思われる。
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