配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
当院で手術施行された進行胃癌症例を対象として,検体の抗癌剤感受性とマイクロアレイによる遺伝子発現の相関を検討した。cisplatin(CDDP)および5-fluorouracil(5-FU)に対する耐性候補遺伝子としてcyclooxygenase(COX)-2が抽出された。COX-2cDNAプラスミドをHT-29大腸癌細胞株より抽出し,電気穿孔法によりCOX-2 naiveなHCT-15株(親株)にtransfectした。transfectant(TR-5)の培養上清にはCOX-2の産生するprostagrandin E2が確認され,細胞にはCOX-2 mRNAとCOX-2蛋白の発現が認められた。MTTアッセイを用いた検討では,COX-2を導入されたTR-5は親株に比して5-FUおよびCDDPに対する耐性を獲得していた。TR-5および親株の発現プロファイルを比較検討したところ,TR-5においてはmultidrug resistant protein-1(MRP),thymidylate synthetase(TS)のup-regulationが観察され,これらの遺伝子がCOX-2の下流で5-FU(TS)およびCDDP(MRP-1)に対する耐性発現に関与していることが示唆された。COX-2阻害剤JTE-522による耐性克服検討を,MTTアッセイおよびヌードマウス可移植性ヒト癌株を用いて検討した。MTTアッセイにおいて,100μMのTE-522の添加はHT-29およびMKN-45に対するCDDPおよび5-FUのin vitro抗腫瘍効果を増強した。ヌードマウスに移植されたHT-29およびMKN-45に対するCDDPの抗腫瘍効果は単独では効果を示さないJTE-522の追加により,推計学的に有意に増加した。これらの成績から耐性責任遺伝子を標的とした耐性克服の可能性が示唆された。
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