研究課題/領域番号 |
14571249
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 英明 産業医科大学, 医学部, 教授 (90038852)
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研究分担者 |
中山 善文 産業医科大学, 医学部, 助手 (50279337)
永田 直幹 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80200377)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | TAC-101 / レチノイド / 大腸癌 / 肝転移 / VEGF / Fas / 血管新生抑制 / apoptosis / 肝転移抑制 / アポトーシス / 腫瘍血管新生 / 血管新生阻害剤 / vascular endothelial growth factor (VEGF) |
研究概要 |
肝転移は大腸癌の予後に大きな影響を及ぼしている。転移を制御できれば予後を大きく改善することが可能である。レチノイドは多くの生理活性を有する物質であるが、中でも細胞分化制御作用と制癌作用が注目されている。我々は以前より、新規合成レチノイドTAC-101の大腸癌肝転移における予防効果を報告してきたが、そのメカニズムはいまだ不明の点が多い。そこで、我々はこのメカニズムを解明するために、TAC-101投与によるラット大腸癌肝転移巣における微小血管密度の変化とアポトーシス誘導効果を検討した。TAC-101投与群で微小血管密度の減少とapoptptoc indexの増加が認められた。次ぎに、TAC-101のヒト大腸癌細胞株(DLD-1,CACO-2,HCT-15,PMF-ko14,SW480,SW620)に直接及ぼす影響をin vitroの実験系で検討した。結果としては、これらヒト大腸癌細胞株すべてにおいてRAR-αの発現が認められ、TAC-101は、すべての細胞株の細胞増殖を濃度依存的に抑制した。また、TAC-101は、FACScanにおいて、DLD-1のapoptosisを時間依存的に誘導した。その上、TAC-101は、Northern blot解析において、DLD-1のVEGFmRNA発現を時間依存的に抑制し、ELISAにおいて、DLD-1のVEGF蛋白発現を濃度依存的に抑制した。これらの結果から、in vivoにおける肝転移巣でのapoptptoc indexの増加と微小血管密度の減少は、in vitroでのapoptosisの時間依存的な誘導とVEGFmRNA発現の時間依存的な抑制、VEGF蛋白発現の濃度依存的な抑制に裏付けられることが解った。したがって、TAC-101の作用は、RAR-αを発現している大腸癌に対して、Fas発現増加によると思われるapoptosis誘導作用とVEGF発現抑制による微小血管密度の減少作用によって大腸癌細胞の肝転移を抑制していることが強く示唆された。 現在、TAC-101の臨床治験が行われており、今後、TAC-101の臨床応用が期待される。
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