研究課題/領域番号 |
14571269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
門田 康正 徳島大学, 医学部, 教授 (60028628)
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研究分担者 |
三好 孝典 徳島大学, 医学部, 助手 (20346612)
先山 正二 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60291986)
近藤 和也 徳島大学, 医学部, 講師 (10263815)
沖津 宏 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (50214036)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 肺癌 / 初代培養癌細胞 / 同所性移植モデル / 転移様式 / DNAマイクロアレイ / 遺伝子変化 / 手術検体 / 同所性移植 / 転移様 / 同所移植モデル / 肺癌初代培養 / 抗癌剤感受性試験 |
研究概要 |
肺癌でリンパ行性または血行性転移の有無の把握は、治療効果や予後の予測に重要である。私達はMa44-3肺癌細胞株をSCIDマウスの肺に同所性に移植し、高率にリンパ節転移を生じるモデルを作成した。更にMa44-3細胞株にGreen Fluorescent Protein発現遺伝子を導入し、同所性にSCIDマウスに移植した。これにより、肺内に移植した癌細胞が増殖し肺門を経て縦隔へリンパ行性に転移していく様子が蛍光発色した病変部位として確認され、臨床での肺癌の転移様式と酷似していた。また、細胞株(Ma2、Ma10、Ma25、Ma44-3、A549)を変えることで、この同所性移植モデルは細胞それぞれの転移能を反映し、リンパ行性転移のみならず血行性転移も生じた。すなわち、この同所性移植モデルにより癌細胞それぞれの転移能の評価が可能である。転移メカニズムの解明は現在もその途中段階にあり、私達の同所性移植実験モデルは転移メカニズムの解明の手助けとなりうる。 ヒト肺癌細胞株3種(Ma2、Ma25、A549)及びヒト肺癌切除検体初代培養細胞2種(FM205、FT821)でマウスの移植部腫瘍のRNAと移植前の細胞RNAをセットにし、DNAマイクロアレイで57種(薬物代謝,薬剤耐性,DNA修復蛋白等)の遺伝子発現の違いを検討した。それぞれの細胞株と移植後の肺腫瘍のmRNAは、Pearsonの相関係数0.8883〜0.9533で、両者は有意に相関していた。これより、移植前の腫瘍細胞はSCIDマウス肺に移植後も遺伝子的変化はほとんどなく、移植後の肺腫瘍は移植前の細胞の特性を保持していると考えられた。 個々の癌細胞はそれぞれ転移様式、転移速度、更には抗癌剤の感受性などに違いがある。不均一な細胞の集まりであるヒト肺癌の転移能や薬剤感受性を検討するためには臨床で得られた肺癌組織を対象として研究する必要がある。今回私達は、臨床の肺癌切除材料5例より初代培養癌細胞2種を作成し、これを用い同所性移植モデルの作成に成功した。成功した2種の細胞において病理学的にこのモデルの腫瘍と臨床の標本は類似していた。更に転移形式においても、臨床では縦隔にリンパ節転移を認めており私たちのモデルでも縦隔に転移をきたしており、類似していた。現在、臨床の肺癌切除材料より高率に初代培養癌細胞を作成し、同所性移植モデルにより転移能や抗癌剤の抗腫瘍効果と転移抑制効果を同定するというシステムを確立すべく研究を行っている。
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