研究概要 |
従来、in vivoではreuptake activityにmaskされてしまうためexcitatory neurotoxicityに特異性の高い実験動物モデルが乏しく、その有効性や作用機序を解明することが困難であった。独自に脊髄をそれ自体では障害を与えない程度の短時間虚血にしながら、アスパラギン酸を分節注入することにより、対麻痺を作成するという新しい実験動物モデルを開発した。このモデルでcaspase inhibitorであるdiazoxideとMK-801、riluzoleとの併用のaspartate neurotoxicityにたいする脊髄保護の有効性を評価した。New Zealand white rabbitを用い,A群(n=7)では,diazoxide(4mg/kg)を術前に静脈投与した.B群(n=7)はdiazoxide(4mg/kg)とNMDA受容体阻害薬MK-801(6mg/kg)を投与した.C群(n=7)はriluzoleを術前10日間(100mg/kg/day)経口投与させたのち、diazoxide(4mg/kg)を投与した.D群は、controlとして、溶解液のみ注入した。カテーテルを右大腿動脈から腹部大動脈にむけ挿入、先端をbifurcationから5mm上の位置に固定した。腹部大動脈を左腎静脈直下とbifurcationで血流を遮断した状態で、30mMのアスパラギン酸溶液を2ml/minの速度で10分間カテーテルから注入した。手術後、神経学的所見をTarlovのmodified scoreに従い、12、24、48時間後、評価した。Tarlov scoreは、A群で3.8±0.9,B群は3.4±0.6,C群は4.0±0.6,D群は0.8±0.6とA群でD群より有意に良好な回復を示した(p<0.05)。A群とB群、C群の各群間に有意差は認めなかった。病理組織学的検索では、D群では、灰白質の神経細胞の脱落および白質の障害が著明であったが、A群、B群、C群とも灰白質の軽度のeosinophilic changeのみであった。アスパラギン酸虚血下分節注入による脊髄障害にたいしdiazoxideは有効だがNMDA受容体阻害薬、riluzoleとの併用効果は認めなかった。
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