研究概要 |
「肺癌における分子標的のCGH (Comparative Genomic Hybridization) Microarray法による解析」 【材料と方法】・DNAチップは、約300種類の各種癌遺伝子、癌抑制遺伝子、マーカーのP-1およびBAC-DNAクローンをスライドガラス上に固定したArray300(米国Vysis社)を用いた。 ・肺癌培養細胞は、理化学研究所から供給された小細胞肺癌:Lu130,Lu134A, Lu135,Lu139,Lu140,Lu165,T3M12,腺癌:RERF LCKJ,PC14扁平上皮癌:SQ5,RERF CL-A1,大細胞癌:IA5、合計12株を用いた。 ・CGH Microarray : Random Priming法で、各培養細胞から抽出したゲノムDNAをグリーン、対照DNA(正常ヒトリンパ球DNA)をレッドで蛍光標識し、Array300に競合的にハイブリダイズ(37度72時間)し、洗浄、DAPI染色後、分析機器GenoSensorを用いて、各クローンの蛍光色比からDNAコピー数変異を測定した。 【結果】1.高頻度にDNAコピー数が増幅していた分子:(1)C84C11/T3(5p telomere):(頻度83.3%)(2)N-RAS(1p13.2)(3)DAB2(5p13)(4)CDK6(7q21-22)(5)HIRA=TUPLE1(22q11.21):(75%)(6)ARSA(22q telomere)(7)D5S2064(5p15.2)(8)H18962(9q telomere)(9)STK6/STK15(20q13.2-13.3):(66.7%) 2.高頻度にDNAコピー数が減少・欠失していた分子:(1)FHIT(3q14.2)(2)D10S249/D10S533(10p15):(75%)(3)BIN1(2q14)(4)TBR1(2q23-37)(5)p44S10(3q14.1)(6)ESR1(6q25.1)(7)D8S596(8p telomere)(8)SHGC-44253(10p telomere)、(9)EGR2(10p21.3)(10)FGFR2(10p26)(11)DCC(18q21.3)(12)18QTELL11(18q telomere):(66.7%) 【まとめ】下線の遺伝子クローンの変異は、今まで肺癌での報告はなく、新しい知見であった。遺伝子コピー数の減少・欠失していたクローンについては、発現レベルでの解析を計画している。
|