配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
低栄養・プロスタグラジン誘導体・選択的β-受容体刺激薬・プリン受容体が肺胞水分再吸収機序に及ぼす影響,肺胞上皮細胞のカテコールアミン輸送能力,ヒト肺でのカテコールアミンが肺胞水分クリアランスに及ぼす影響を研究した.その結果,ラットでは栄養状態が悪化するとDibutyril cyclic GMP感受性であるアミロライド非感受性肺胞水分クリアランスは低下した.グルタミン酸ナトリウムの補給により肺胞水分クリアランスは改善した.周術期栄養管理は肺胞上皮細胞機能を維持するうえで重要である.β1,2-刺激薬は,それぞれの受容体を介して,β3-刺激薬はβ2-受容体を介して肺胞水分クリアランスを亢進させた.β-受容体mRNAの発現はβ2>>β1,β3であった.β1,β3-刺激薬に比し,β2-刺激薬の有効性が高い.プロスタグランジン誘導体は肺胞水分クリアランスに影響しなかった.しかし,喪失したβ-刺激薬の機能を回復した.Uridine5'-triphosphate(UTP)はP2受容体を介して肺胞水分クリアランスを亢進させた.UTPの作用はクロライドチャンネル,主にCystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)を介した.UTPはイソプロテレノール(β-刺激薬)の効果を促進した.プロスタグランジン誘導体とプリン受容体はβ刺激薬補助機能がある.肺胞からのカテコールアミン輸送能力はエピネフリンに比し,ノルエピネフリンの輸送能力が高い.輸送能力は肺胞水分クリアランスと相関し,ナトリウムチャンネルが関与する.ヒト肺とラット肺では差がない.肺胞水分クリアランス機能の低下によりカテコールアミンの輸送能力は低下する.肺傷害患者の肺水腫液と血漿中では,内因性エピネフリンとノルエピネフリン濃度は上昇するが,肺胞水分クリアランスを亢進することはできない.しかし,外因性エピネフリンにより肺胞水分クリアランスは亢進する.エピネフリンの効果はCFTR阻害薬のglibenclamideあるいはCFTRinh-172により抑制された.肺傷害における肺水腫治療にはβ刺激薬治療が必要であり,その効果はCFTRを介する.
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