研究分担者 |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 助手 (20349062)
鈴木 龍太 昭和大学, 医学部, 助教授 (10119216)
浅井 潤一郎 昭和大学, 医学部, 講師 (10151010)
長島 梧郎 昭和大学, 医学部, 講師 (70262201)
佐藤 知樹 昭和大学, 医学部, 特別研究生 (90183384)
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研究概要 |
慢性的脳血状態の脳に、少ない侵襲で硬膜血管から豊富な新生血管を誘発し、脳血管との吻合も促進させ有効な脳血流を増加させる間接的血行再建術・血管新生療法RDP(Reversed durapexia)を1992年に開発し、臨床症例を重ねてきた。この方法をより効果的な治療法にするために、その機序(発生機序)を解明し、その改良を目指して動物実験と臨床症例の検討を行ってきた。昨年度までは慢性脳虚血モデルとして確立できたラットの両側総頸動脈結さつモデルを用い、露出硬膜切開部の皮下に埋没させた持続注入ポンプを用いて血管増殖因子を作用させ、増殖因子による血管新生増強効果を認めた。 今年度は同じモデルを用い、より実際的な治療法を考え、局所に増殖因子を含ませた平皿状の綿を置いた。動物をA,B,Cの3群にわけ、昨年度よりさらに広く骨窓を作成し、A群では前頭頭頂部の硬膜を露出させ,B,C群では硬膜露出後硬膜に切開線(RDPの代用)を置いた。皮下に生理的食塩水(B群)あるいは増殖因子(C群用:増殖因子VEGF&bFGF各10μg)を含ませた綿を置いた。手術終了後30日後に、頭蓋骨とともに脳を固定し、脱灰し、この組織に免疫組織染色を行い、新生血管、増殖因子の動態、組織の虚血性変化について検討した。今回は前年度のVEGF,bFGFに加え,VEGFR,Ang1,Ang2,Tie2も併せて検討し、新生血管についてはFactor VIIIを染色した。 梗塞巣の辺縁部を中心に増殖因子は著明に増加しており、その範囲は急性期脳虚血の30日後より広範囲におよんでおり、B,C群では脳表面すなわち硬膜を中心とする被膜から新生血管が虚血脳組織に向かっているのが認められた。脱灰操作のためかAng1,Ang2,Tie2の染色性に問題があり、条件を変えてこころみたが十分な染色は得られなかった。しかしながらこの方法による、すなわち増殖因子の局所投与による血管新生促進効果が期待できる結果をしめしていると考えられた。
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