研究概要 |
悪性脳腫瘍において,インターフェロンのレセプターからのシグナル伝達に関与する可能性のある遺伝子の発現プロファイルを解析するために,DNAマイクロアレイを用いた解析を施行した。摘出手術により得られた悪性グリオーマ組織のmRNAを抽出。抽出されたmRNAはサンプルの遺伝子発現状況を反映することから、このmRNAを鋳型として合成し、蛍光標識した一本鎖cDNAプローブをターゲットにハイブリダイズした。ターゲットは主としてインターフェロンのレセプターからのシグナル伝達に関連する遺伝子のPCR産物を用いた。この際、コントロールとしての非腫瘍部のmRNAの代わりに、一般に入手可能な複数のヒト正常脳組織からmRNAを抽出して使用した。その結果、以下の結論が得られた。 1.悪性グリオーマgrade 2,3,4における遺伝子発現を、マイクロアレイで比較検討した結果、p<0.05で有意な発現変化が11遺伝子で認められた。P<0.1では、32遺伝子に発現変化が認められた。 2.grade 4では、全体的に遺伝子発現レベルは抑制傾向にあり、特にインターフェロン関連遺伝子の発現が抑制された。 3.有意な発現変化がみられた11遺伝子のクラスタリングの結果、発現パターンは大きく3分され、grade 4の中に、grade 3とあまり変わらないパターンを示す群と、大きく変化する群があることが分かった。 4.さらに、二次元で再クラスタリングを施行したところ、選択された6遺伝子でも上記と同様の結果が得られることが判明した。 5.有意な発現変化が認められた11遺伝子の中で、検索可能であった10遺伝子についてRT-PCRによる実際の発現を解析したところ、いずれもマイクロアレイの結果とよく相関する結果が得られた。
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