研究概要 |
仮骨延長部の骨形成を促進するために,GFP蛍光遺伝子を持ったpEGFP-C3プラスミドのMCSにrhBMP-2遺伝子を組み込み,融合蛋白をコードするプラスミドを作成した.作製したプラスミドをリポフェクションにて,マウスの線維芽細胞株であるC2C12およびNIH3T3に導入を行なった.RT-PCRではrhBMP-2のmRNAの発現は亢進していた.同細胞は蛍光顕微鏡およびレーザー共焦点蛍光顕微鏡において蛍光発現していた.しかしrhBMP-2の免疫染色における蛍光の分布はGFPの蛍光分布と一致せず,融合蛋白が正常に発現しているとはいえなかった.C2C12はBMP-2存在下で骨芽細胞様の活性を示すことが知られているが,遺伝子導入した細胞におけるALPの活性は変化は増大した. ラットの大腿骨より採取した骨髄由来細胞一時培養株に遺伝子導入し,それをラットの大腿二頭筋内および創外固定器により作成した3mmの骨欠損部にType I collagenを担体として埋入した.経時的なレ線で骨形成は確認されず,標本においてGFPの蛍光はわずかに確認されるが骨梁形成は認めなかった.BMP-2の免疫染色も部分的に認めるものの,GFP蛍光との関連性はなかった骨欠損部に埋入した後に骨延長刺激を加えた群(0.5mm/日を10日間,計5mm延長)においても同様の結果であった. 以上の結果から,GFP-rhBMP-2融合蛋白遺伝子は正常間葉系細胞に導入されるが,免疫学的手法では検出されなかった.一方in vitroではわずかに生理活性を示すことがわかったが,in vivoの実験系では生理活性を示すような異所性骨形成や骨形成の促進は示さなかった. 今後は各遺伝子間の構造を変えることや,ベクターをアデノウィルスに変更することで改善を図る必要があると考える.
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