研究課題/領域番号 |
14571375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安田 義 京都大学, 医学研究科, 助手 (40314223)
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研究分担者 |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 滑膜細胞 / インテグリン / 関節リウマチ / MMP / フィグロネクチンフラグメント / MAPキナーゼ / 関節破壊 / パンヌス / フィブロネクチンフラグメント |
研究概要 |
関節リウマチ(RA)で見られる特徴的な関節破壊の様式として、滑膜がパンヌスを形成して関節軟骨と骨との境界部より軟骨を破壊しながら侵入していくことが知られている。しかしながら、パンヌスによる軟骨破壊のメカニズムには不明な点が多い。これまでの研究で、関節軟骨に侵入するRAパンヌスにはα4インテグリンが新規に発現することが判明している。本研究では、RAパンヌスに発現したα4β1インテグリンを介したシグナルがRA滑膜線維芽細胞(RSF)におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)産生に与える影響について調査した。 RAに対する人工膝関節置換術時に採取した滑膜組織から、RSFを単層培養した。免疫沈降法を用いて、単層培養したRSFにα4インテグリンが発現していることを確認した。α4β1インテグリンに結合するC末ヘパリン結合部位を含むフィブロネクチンフラグメント(HBFN-f)、合成ベプチド(CS-1)を投与すると、RSFによるMMP-1、MMP-3、MMP-13分泌が濃度依存性に亢進した。非投与群、N末ヘパリン結合部位を含むフィブロネクチンフラグメント、コントロールペプチド投与群では、RSFによるMMP分泌亢進は見られなかった。抗α4インテグリン抗体を投与すると、HBFN-fによるMMP産生は抑制された。阻害剤を用いた実験から、α4β1インテグリン刺激によるMMP産生亢進には、MAPキナーゼであるERK、p38、JNKが関与していることが判明した。 以上の結果から、RAパンヌスが関節軟骨に侵入する際に、α4β1インテグリンを介してRSFがコラゲナーゼ(MMP-1、MMP-13)並びにMMP-3を産生して軟骨破壊に関与している可能性が示唆された。本研究から、MAPキナーゼ阻害剤がα4β1インテグリンを介したMMP産生抑制に有効であることが判明したが、現在使用可能なMAPキナーゼ阻害剤は生体内で生理的作用をも抑制する危険性があるため、RAパンヌスに発現したα4β1インテグリンを特異的に抑制する治療法の開発が望まれる。HBFN-fの特定アミノ酸配列がCD44を介したシグナル伝達を抑制することから、今後のHBFN-f研究からα4β1インテグリン機能抑制の足掛りが得られる可能性がある。
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